"無名自治体"がホークス誘致に成功した理由 「地に足ついた提案」で勝ち取った大チャンス

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駅前に広がる広域公園は現在整備中

2013年11月、4市によるプレゼンが行われた。大手広告代理店が同行した市もある中、職員手作りの企画案で臨んだ筑後市。アピールポイントにはアクセス面のほか、恵まれた育成環境を挙げた。

候補地の周辺は古くから温泉が湧く保養地で、すぐ近くにある県営の広域公園には温泉施設や運動公園があり、今後プールも完成する予定。トレーニングやリハビリにも最適で、都会の華やかさはないが、野球に打ち込むには充実した環境だ。

「ホークスのキャンプ地である、宮崎の生目の杜運動公園に似た環境かもしれません。そのあたりも評価いただけたのではないでしょうか。加えて温暖な気候もアピールしました。実は福岡県北部に比べて日照時間が年間20%ほど長く、降水量も少ないんです。それに、都会とは違う『人の温かみ』が若手を育成する環境に向いているのではないか、という点も強調しました」(江崎さん)

キャッチコピーもゆるキャラの衣装も、すべて手作り

2013年12月25日、ついに候補地に決定!

職員による「地に足の着いた提案」は、球団にも好印象を与えたようだ。

「誘致活動に使用したのぼりや横断幕、記者会見のバックパネル、市のキャラクター『はね丸』の衣裳に至るまで、すべて市職員の手作りで、キャッチコピーも職員が考えたものでした」と、串田さん。筑後船小屋駅前で20日間灯し続けた「ファーム誘致メッセージキャンドル」は、職員が毎日交代で火を付けに通っていたという。

「職員も市民のみなさんも、熱すぎるくらい熱かったですね。市としてこんなに団結して取り組んだことは、過去になかった。球団施設誘致というわかりやすい目標があったから、みんなが同じ方向に向かえたのではないでしょうか。おかげで街の雰囲気も変わってきたように思います」(江崎さん)

2013年12月25日、ホークスファーム本拠地誘致が決定した。翌年1月には市役所にホークスファーム本拠地整備推進室を新設。しかし、この時点では「本拠地予定地に選ばれた」というだけで、ほかに何も決まってはいなかった……。記事の後編では、誘致決定後から開業までの筑後市の奮闘をお伝えしたい。

田中 純子 ライター

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たなかじゅんこ / Junko Tanaka

福岡在住のライター。旅行業界、インテリア業界を経験後、情報誌のディレクターとして九州各地を担当。その後、医療機関の広報誌編集を経てフリーランスに。現在、「いつまでも輝き続ける生き方」をテーマに、学び・仕事・ライフスタイルを中心とした「心のアンチエイジング」を研究中。また、地方の伝統文化について海外に情報発信することを目標に、英語の再学習にも取り組んでいる。

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