"無名自治体"がホークス誘致に成功した理由 「地に足ついた提案」で勝ち取った大チャンス

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筑後市役所ホークスファーム本拠地整備推進室の江崎さん(右)と串田さん(左)

「残念ながら、筑後市の名前も場所もご存知ないという方は多いんです。だから、市の知名度を上げるにはまたとない機会と考えました。市議会を開く時間もなかったので、市の経営会議で意思確認を行い、議長の同意を得て立候補を。その後、市長と議長、商工会議所の会頭(タマホーム社長)で記者会見を行いました。

正直なところ、最後まで残るとは思っていなかった人が大半だったと思います。一次くらいは通過すればいいな、という感じで。しかし、こればかりは『2番で惜しかったね』ではダメですからね。職員は、『1番しかありえない』という思いで活動していました」

誘致活動の”スタート地点”について、江崎さんはそう振り返る。候補地はもともとタマホームが所有していた土地。新幹線の駅から徒歩5分、八女インターから車で10分程度と、絶好の立地である。しかし、周辺の開発が進んでいないため活用方法がなく、ほぼ手付かずの状態だったという。

「民間所有ではあるものの、駅の近くに広大な土地が未開発のまま残っていることは、今後の開発を進めていくにあたって支障になるため、市としても早く活用したかったんです。誘致を検討していた時に『格好の土地があるじゃないか!』という話になり、タマホームさんからも『無償でお貸しします』と言っていただけて、そこからは急展開でした」(江崎さん)

職員・議会・市民が一つの目標に向かった

市のイベント開催時や駅、ショッピングセンターなどで署名活動を実施

誘致活動においては、市民から反対にあうことはほとんどなかったという。

「自治体の場合は議会を通さなければ何も決められないのですが、誘致については一致団結。市議会では議員全員がユニフォームを着用し、職員も皆オリジナルの誘致Tシャツを着ていました。もちろん、すべて自費購入です」(江崎さん)

署名活動は町内会など身内の団体に依頼したり、市の職員がショッピングセンターなどで呼びかけたりと地道な活動だったが、市の人口を超える7万6084人分が集まった。周辺のみやま市や大川市からも、独自に集めた署名が届いたそうだ。

「みんなこんなにホークスが好きなのかと、本当に驚きました。でも、これが1軍のようにショーアップされた華やかな施設であれば、逆にここまで受け入れられなかったのかもしれません。選手が身近に住み、そこから羽ばたいていく『ファーム』という育成の場だったからこそ、親近感が持てたんでしょうね」(江崎さん)

2013年9月25日、筑後市は見事一次審査を通過。候補地は筑後市と福岡市、北九州市、宮若市の4市に絞られた。

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