マタハラ当事者が、弁護士と相談すべきこと マタハラ被害者座談会<後編>
大渕:一昨年、マタハラによる降格事例で最高裁が違法の判決を出しました。最高裁でマタハラが認められたのはそれが初めて。その頃からマタハラの相談件数も増えてきました。今までは、自分の受けている仕打ちがマタハラなのかもよくわからないまま我慢してしまう人が多かったと思うんです。
ミキティ:それじゃあ企業側も少しはマタハラを意識し始めてる?
大渕:「一億総活躍社会」とも言われる今の時代、日本の社会全体としても女性に育児と仕事を両立してもらわないと成り立たない状況なんですよ。だから政府もマタハラ撲滅に向けて動いていて、企業に指導もしてるんです。でも、危機感を持ってきちんと対応している大企業に比べて、中小企業まではなかなか行き届いてないのが現状ですよね。まだ社会の動きと実際の現場がちぐはぐな感じ。みんなが意識を変えていくのはまだまだこれからだと思います。
申し訳ない気持ちで一杯に…。仕事の穴は誰が埋める?
タカミ:職場に妊娠を打ち明けるときに、「妊娠してすいません」みたいな気持ちになっちゃうのは悔しいですよね。
大渕:本来、肩身を狭くする必要なんてないはずなのにね。ほとんどの女性が、残業できなくなることや育休を取ることに対して、会社に申し訳ないという意識を持ちがちです。これからの女性にとっては、もう職場選びの段階から妊娠出産への理解がある会社かどうかが、すごく重要な判断基準になっていくと思います。
ミキティ:妊娠して働き方が変わることで、周りから嫌な目で見られたりするのはどうにかなりませんかね?
大渕:妊娠した女性の働き方がある程度変わるのは当然のこと。ただ、できることがあるとすれば、自分の仕事をスムーズに引き継げるよう準備しておくのは大切かもしれないですね。自分が抜けたとたんに業務が滞ってしまわないように、誰でもわかるマニュアルを作っておくとか。そういう体制をばっちり整えた上で妊娠の報告をすれば、理解されやすくなるかもしれません。
ミキティ:例の嫌な先輩は、妊婦だからって特別扱いはおかしいと主張してて、自分と同じ仕事量を今まで通りにやらせないと気が済まなかったみたいです。
ミホ:確かに、妊婦さんのせいで自分の仕事を増やされたっていう被害者意識は簡単にはなくならない気がします。