J1名古屋グランパスの長すぎる低迷、Jでは「トヨタ流」の効力なし?
名古屋市瑞穂陸上競技場には、1時間に7ミリを超える大雨が降りしきっていた。7月1日、鹿島アントラーズをホームに迎えたJリーグ第10節。ずぶ濡れで試合を見守る観客9600人。その大半は、地元の名古屋グランパスが王者に一泡吹かせる場面を期待していた。
だが現実は、天候以上に容赦ない王者の攻撃にさらされた。ゴール前、実に3選手のスルーに翻弄され、右隅に流し込まれた2点目。前年得点王のブラジル人選手がボレーを決めた3点目。相手の鮮やかなシュートが決まるたびにサポーターのチャント(応援歌)は停止し、嘆きに変わる。勝者は8連勝を飾り、敗者は4連敗の泥沼へ。「なぜ勝てないのか」。敗者を待っていたのは、地を揺らすようなブーイングだった。
財政面では上位でも唯一優勝できないクラブ
それは今シーズンに限ったことではない。1993年のJリーグ開幕節。アントラーズのジーコがハットトリックを決めた歴史的な試合の相手がグランパスだった。それ以来、チームには敗者の顔が付きまとう。
Jリーグは1年間のリーグ戦を通して優勝者を決める。当初は上半期と下半期の2シーズン制で、優勝者も2チーム。シーズン中にはナビスコカップというカップ戦もある。リーグ創設時の10クラブ「オリジナル10」のうち、合併消滅した横浜フリューゲルスを除いて、優勝していないのはグランパスだけだ。
「(毎年降格争いの)ジェフ(ユナイテッド千葉)でさえ、ナビスコ杯を獲っている。なのに、うちは」。クラブ幹部は悔しさをにじませる。ファンからも「万年中位」「クラブの顔が見えない」と非難されるが、本来であれば「ビッグクラブ」と呼ばれるにふさわしい体格なのである。
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