J1名古屋グランパスの長すぎる低迷、Jでは「トヨタ流」の効力なし?

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2007年度の営業収入は、J1の18チーム中第4位。選手・チームスタッフの人件費も第4位でリーグ2連覇中のアントラーズと同規模だ(下表参照)。実質的な親会社であるトヨタ自動車などトヨタグループが48%を出資し、残り52%を中部電力など名古屋財界が支える。出資者に恵まれないクラブも少なくない中で、経営的な安定感は群を抜く。

入場料収入は6位と、トップの浦和レッズの5分の1だが、広告料収入は3位と互角。「経営規模、選手に投じる資金などはリーグでも有数。単年度で赤字を計上したのも一度だけ」と名古屋グランパスエイトの福島義広専務は話す。

それでも、グランパスは誰もが認める常勝軍団として君臨することは決してなかった。それはなぜか。

「生まれ方が生まれ方だから」。グランパス関係者たちはそうつぶやく。Jリーグ開幕前、各地でチーム創設はスムーズに進んだが、「サッカー不毛の地」と呼ばれた名古屋は別だった。3大都市の一角が欠けることに危機感を持った、Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏がトヨタを口説き落とした。

Jリーグで地域の活性化を画策する自治体は多い。ところが、名古屋にはプロサッカーに対する思い入れがない。プロ球団なら「中日ドラゴンズ」という絶対的な存在がすでにある。地域から望まれて誕生した存在ではないことが、経営のモチベーションに影響してきた。

「リーグ創設時、条件に合う競技場は名古屋市の瑞穂陸上競技場だけ。財界への出資要請もそうだが、とにかくトヨタが面倒を見るから、とお願いした。地元にウエルカムという雰囲気はなかった」(関係者)。

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