PTA活動をするいちばんのメリットは、「人とのつながり」という財産を得られることだと筆者は思います。
しかも、身近でリアルな、地元での人とのつながりです。
「社会関係資本」が役に立つ
「人とのつながり」というのは、「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と言い換えてもいいでしょう。
PTAで得られる「人とのつながり」によって、具体的には、どんないいことがあるのでしょうか?たとえば、こんなことが考えられます。
災害のときなど、近所に知り合いが多いというのは、やはり安心ではないでしょうか。
5年前の震災時、電車が止まり、電話やメールも通じなくなり、家族と連絡が取れずに不安を感じた人も多かったことでしょう。
筆者も当時、自宅から10キロほど離れた駅にいて、途方に暮れました。家族に歩いて帰ることを伝えたい、子どもや老親の無事を確認したいと思いましたが、手段がありません。
唯一つながっていたツイッターでそのことを発信すると、隣の隣の学区に住む知り合いが、「家まで行ってきてあげようか?」と言ってくれました。とても有難かったのですが、決して近所というほど近くの人ではなかったので、申し訳なくてお願いはできませんでした。
その点、いまはPTA活動などを通じて知り合った人が近所に何人もいる(5年前の3倍はいます)ので、だいぶ安心です。
「孤立しているよりも、人とつながっていたほうが楽しい」というのは、シンプルに納得いただける点かと思います(もちろん、どんな人とつながるかにもよるのですが……)。
PTAの話ではありませんが、昨年筆者が取材した、東日本大震災の被災地で復興支援の活動をする藤沢烈さんが、こんなお話をされていました。
「震災が起きた後に人付き合いが減った人と、増えた人がいます。増えた人は『すごく復興が進んだ』と感じやすいのですが、人付き合いが少なくなった人たちは、『復興はぜんぜん進まない』と感じやすい。
人とのつながりが弱い方は、地域の町並みが震災前に戻るほど『周りは自分を置いてどんどん先に行ってしまう』と感じ、孤独感を強めるのです。
町を元に戻すだけではなく、孤立感をもつ方のつながりを強めなければ、本当の意味での復興にならないのです」(「人のつながり」が日本の課題を解決するより)
「人とつながっている」という感覚そのものが、その人のQOL(生活の質)を左右するということでしょう。
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