最近、ネット上で「民主党政権時代の方が、今の安倍政権時代よりも経済成長率は高かった」と言っている論者を見かけた。こんな趣旨である。
GDPを用いたもっともらしい結論
ほら実質だとA>Bでしょ、というのである。悪いけど、それは間違っているだけでなく、知的誠実さに欠ける比較である。
2009年はリーマンショックの翌年であって、実質でマイナス5.5%、名目でマイナス6.0%成長というドツボな年であった。こういうことが起きた翌年は、GDPは反動でほっといてもプラスになる。実際に2010年は実質でプラス4.7%、名目でプラス2.4%と高かった。だから2010年を入れた時点で、平均値が高くなるのは当然というわけだ。「民主党時代の方が、今よりも経済政策が優れていた」というのは牽強付会な議論である。ちなみに、GDPを実額ベースで比較すれば下記のようになる。果たしてどっちの方が良く見えるだろうか?
だからといって、このデータから自民党の政策の方が正しい、という結論を導き出せるわけでもない。要はGDPという統計を使うと、いかにももっともらしい議論が出来てしまうけど、なるべく気をつけましょうね、ということになる。
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