国民総所得が増えれば、家計所得は増える? 景気・経済観測(日本)

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国民総所得は国民総生産とどう違うのか(撮影:尾形 文繁)

6月14日に閣議決定された成長戦略、骨太の方針(「日本再興戦略」および「規制改革実施計画」「経済財政運営と改革の基本方針」)は、現在384万円の1人当たり名目国民総所得(GNI)を10年後に150万円以上拡大することが目標として掲げられた。これを契機として「国民総所得」という言葉がにわかに脚光を浴びている。

国民総所得(GNI)と国民総生産(GDP)の違い

一国の経済活動全体を表す指標としては、国内総生産(GDP)が用いられることが多い。

国内総生産と国民総所得の違いのひとつは、「生産」と「所得」の違いであるが、三面等価の原則(「生産」=「所得」=「支出」)から、名目では両者は概念的に一致する。

もうひとつは「国内」と「国民」の違いである。国内という概念は、その国内領土に居住する経済主体を対象とするものであり、国内総生産には外国企業の在日子会社の生産活動も含まれる。一方、国民という概念は、当該国の居住者主体を対象とするものであり、国民総所得には居住者主体が海外から受け取った利子や配当なども含まれる。すなわち、「名目GNI=名目GDP+海外からの所得の純受け取り」となる。

日本では、かつては国民総生産(GNP)が用いられていたが、企業の海外進出が盛んとなるにつれ、国外での経済活動が加算されるGNPでは、国内の景気動向を把握するうえでは不適切な面もあるということで、1990年代前半からは主として国内総生産(GDP)が用いられるようになった。

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