人間関係がうまくいかない人は「論語」を読め 「こんな会社、辞めてやる」と思う人への格言

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

孔子は、

「備わるを一人に求むること無かれ」(微子第18-10)

といって「ひとりにすべての能力を求めるな」と戒めていますが、上司に対しては、「自分より能力が高いから、上司なんだろう」と厳しく採点しがちになっていませんか。また、

『まんがでわかる論語』(齋藤孝著、あさ出版)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「其の位に在(あ)らざれば、其の政(まつりごと)を謀(はか)らず」(憲問第14-27)

という言葉もあるように、そのポジションでないと見えないこともたくさんあります。

たとえば、新しい業務が増やされたとします。「同僚よりも業務が多く、不公平だ」と不満に思うかもしれません。しかし、上司が「誰よりも期待しているから、新しいプロジェクトにも取り組ませてみよう」と考えているとしたら? まったく逆の評価であることがわかります。

「親の心、子知らず」ともいいますが、自分が親になってみないとわからないこともあるように、立場によって視点は大きく違ってくるのです。

どこに行っても「人間関係」はついて回る

人は、ひとりで生きていくことはできません。「こんな上司も部下も、もう限界!」と思うかもしれませんが、どこに行っても、いい人もいれば悪い人もいます。逆にいえば、悪い人だけでもないでしょう。会社の制度まで変えていくのは難しくても、自分が変わり、少しずつでもまわりの人間に影響を与えることはできるかもしれません。

『論語』の内容は、実はとてもシンプルで、「思いやりの深い人間になろう」といっているのです。

「一(いつ)以(もっ)てこれを貫(つらぬ)く」(衛霊公第15-3)

という言葉もありますが、名経営者や名リーダーと呼ばれる人たちが『論語』を愛読するのも、結局、人間ひとりにできることはそんなに多くないと知っているからなのではないでしょうか。

イライラしたり、心が落ち着かないときには、ひと呼吸置いて『論語』を読んでみることをおすすめします。

齋藤 孝 明治大学教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事