一流プロ野球選手の調整はここまで徹底する 42歳の三浦大輔はいかに調子を高めるのか

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若手選手が昼食をとる時間に、井口、サブローとともにフリー打撃をするのだが、その練習方法は一風変わっていた。福浦は左バッターボックスからはみ出るほど外側に立ち、打撃投手が真ん中を目がけて投げるボールに対して強く踏み込み、左中間方向に鋭い打球を連発していた。福浦にその意図を聞いた。

反対方向に「引っ張る」意識で磨かれる打球技術

「今は反対方向(左打者の場合は左方向)に強い打球を打つという意識をもってやっています。シーズン中もやっていますけど、今ほどは(ホームベースから)離れないですね。意識的に離れて、踏み込みながらレフトに引っ張って、強い打球を打つことを心掛けています。下半身をしっかり使って、120パーセントの力で振って、いかにバランスよく、ミスショットを少なくしていくか。そんなことを重視しています」

一般的に「引っ張る」打球とは、右打者なら左方向、左打者なら右方向への打球を指すが、左打者の福浦は逆方向の左に「引っ張る」意識をもっているという。過去に6年連続で打率3割を記録した福浦の打撃技術は、このような意識で磨かれていたのだ。

ほかにも、ティーバッティングでは「近い距離は好きじゃないから」とトスを上げるパートナーとの距離を大きく離して行ない、また「バランスを取るため」と右打席でもスイングするなど、随所にこだわりが感じられた。バットマンとしての金字塔である通算2000本安打まであと88本に迫る福浦は、独自の別メニュー調整で着々と準備を進めている。

プロという世界は、結果を残した者だけが礼賛される世界。毎日10キロ走り込みをしたから150キロの球を投げられるわけではないし、毎日1000スイングしたからホームランが打てると保証されるわけではない。だからこそ、プロ野球選手は自分だけの方法論を確立して、年間通して戦えるだけの技術と体力を身に付けていく。

3月25日に迎えるプロ野球の開幕戦では、そんなプロフェッショナルたちの「調整力」にも思いを馳せながら、思う存分プレーを味わってほしい。

(敬称略)

菊地 高弘 編集・ライター

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きくち たかひろ / Takahiro Kikuchi

1982年生まれ。雑誌『野球太郎』(廣済堂出版)の編集部員を経て、2015年4月よりフリーの編集兼ライターに。野球部員の生態を分析する「野球部研究家」としても活動しつつ、さまざまな媒体で選手視点からの記事を寄稿している。著書に、あるある本の元祖『野球部あるある』(「菊地選手」名義/漫画 クロマツテツロウ氏、新装版が集英社から発売中)がある。Twitterアカウント:@kikuchiplayer

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