一流プロ野球選手の調整はここまで徹底する 42歳の三浦大輔はいかに調子を高めるのか
これらの練習法は誰かに教わったわけではなく、自分の感覚のなかから生まれた調整法だという。館山はチームへの感謝を口にする。
「ヤクルトのブルペンは、伝統的に何をやっても自由なんですよ。その練習方法について監督やコーチに『こういう意図でやりたい』と伝えれば、『じゃあやってみようか』となる。全部やらせてもらえるので、自分の感覚を優先できるんです」
練習終了後、館山はタンクトップにハーフパンツという軽装でブルペンに現れ、スタッフに依頼して自身の投球フォームを撮影し始めた。同じく個人練習をしようとブルペンにやって来た石川雅規が驚いて「季節外れでしょ!」と館山の服装に突っ込みを入れると、館山は「いや、三角筋とか見たいので」と応じた。その「三角筋を見たい」という弁解がユーモラスに聞こえ、ブルペンは笑いに包まれた。館山の練習に付き合った江花正直ブルペン捕手は言う。
「館山はリハビリをする時期が長かったので、トレーニングとか体のメカニズムとか、よく勉強したのでしょう。知識も豊富で、練習中によくわからない単語が出てきますよ(笑)。細かいところまでよく考えて、ストイックに自分の体と対話しながら練習しているように見えますね」
これまで計7度の手術を経験し、昨季は3度目となる右肘靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)をくぐり抜けてカムバック賞を受賞した。ケガに苦しんだからこそ、自分の体と向き合い、自分が最もパフォーマンスを発揮しやすい感覚を探す。それが館山流の調整法だった。
ベテランの「別メニュー調整」
プロ野球のキャンプは、投手よりも野手のほうが練習時間は長く、若手の野手は夕方遅くまで汗を流す。そんななか、独自の調整を許されたベテラン野手は、2軍で制約に縛られずに調整することもある。
千葉ロッテマリーンズでは、井口資仁、福浦和也、サブローという、いずれも40歳前後のベテランが2軍で別メニュー調整を行なっている。
今季でプロ23年目を迎える福浦は、一昨年にキャンプイン前日に背中を痛めて別メニューとなり、昨年も腰と肘を痛めて別メニューに。今年は故障なくキャンプインを迎えたが、近年の流れを踏襲して別メニュー調整になっている。
「何をやるかはほぼ任せられています」と本人が言うように、球団から配布される1日のタイムスケジュール表には「ランチ特打」に名前があるだけで、それ以外は「別メニュー」と記載されている。
「やることをやるだけなんですけど、(仕上がりが)早すぎてもダメだし、遅れてもダメ。任せられているぶん、うまいことやらないといけないので、そのあたりは難しいですね。でも、PT(理学療法士)にもついてもらって練習できるので、ありがたいです」
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