「撤退する」がゴルフ場の生き残る道だった 丸山茂樹のホームコースがメガソーラーに

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ゴルフ場閉鎖を決定したファイブエイトゴルフクラブ(栃木県)のメガソーラー設備(写真:筆者撮影)

一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会の発表によると、2014年度(2014年3月~2015年2月)のゴルフ場入場者は8650万人で、前年より24万以上減少した。ピークだった1992年度の1億232万人と比較すると1582万人減少している。ゴルフ場数は2336コースで、入場者数がピークだった1992年度の2028と比べると、逆に308コースも増えている。

入場者が減っているのにゴルフ場が増えているのは、需要と供給のバランスが大きく崩れている現状をよく示している。ゴルフ業界挙げて市場活性化活動を行っているが、少子高齢化による対象人口減少もあって、少なくとも600コースが供給過多だとされている。

相性がいいゴルフ場用地とメガソーラー

ゴルフ場数のピークはというと2002年度の2460コースで、それ以降減少傾向にある。ゴルフ需要の減退や預託金問題で多くのゴルフ場の経営は破綻しているが、経営を引き継ぐ企業や個人によって、ゴルフ場として生き残ってきた。正確に言えば、ゴルフ場以外への転用の道が見いだせなかったともいえる。しかし、そんな状況に変化の兆しが出てきてた。

2014年度のゴルフ場数2336コースは前年比で50も減少したが、この減少幅は過去最大。その背景には、メガソーラー発電所への転用という道が見えてきたことが挙げられる。ご存じのように、ゴルフ場は芝で覆われているが、芝の育成には日当たりが良いこと必須条件。そのことは、ソーラー発電所の要件であり、コース内の道路他の既存設備も転用には好都合なのだ。

ゴルフ特信(一季出版)の調査によると、ゴルフ場用地でのメガソーラー計画は全国で111カ所ある。すでに送電を開始しているところ、検討中、未着工のものといろいろだが、ゴルフ用地の一部活用や転業にメガソーラー発電が一つの解になっていることは間違いない。売電価格が採算に響くので、個別のゴルフ場で投資事情は異なるが。

栃木県矢板市にあるファイブエイトゴルフクラブを知っているゴルファーは多いだろう。開業は1988年(当時の名称はサイプレスカントリ―クラブ)。ファイブエイト(58)の名称は、プロゴルファーの丸山茂樹が、2000年全米オープン予選で世界記録となる1ラウンド58のスコアを出したことにちなんでつけられた。

ジュニアの育成にも積極的に取り組み、高校生以下は無料でプレーでき、丸山茂樹ジュニアファンデーションを継続開催していた。丸山茂樹のホームコースとして、グリーンコンディションもトーナメントコース並みに仕上げられ、多くのゴルファーが来場していた。しかし、このゴルフ場が3月に閉鎖し、メガソーラー発電に転業するのである。

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