コメ卸が描く、すし・居酒屋の日本食連合構想

渡邉美樹に憧れた男が仕掛ける外食業界再編

――2014年にカッパ・クリエイトと元気寿司の経営統合を試みたが、失敗してコロワイドに売却した。当初はすし業界を再編できると思っていたのか。

そうだ。回転ずし業界の市場規模は5000億円で頭打ちだと思っていた。私としては両社が組んでマーケットを拡げれば、コメの消費量を増やせると思っていた。同じ(回転ずしという)カテゴリーだから統合できると思っていたが、実際には違った。

元気寿司は職人が店内で調理し、品質にこだわる社風だ。一方のかっぱ寿司はセントラルキッチンでネタをカットし、できるだけ効率的に提供するという文化で、両者はあまりにも違いすぎた。

統合にあたっては、元気寿司主導型にしたので、カッパ側のストレスはすごかったと思う。そんなときにコロワイドから相談を受けたこともあり、思い切ってカッパの株を売却した。

「青年社長」の渡邉さんに憧れがあった

――その後、ワタミへの出資も決めている。

神明ホールディング・藤尾益雄社長
ふじお・みつお/1965年兵庫県生まれ。1989年芦屋大学教育学部卒業、神明(現、神明HD)入社。2003年専務、2007年から現職(撮影:梅谷秀司)

われわれの知らないところで、金融機関がワタミに、提案したようだ。創業者の渡邉美樹さんが神明の企業理念を見て、この会社は考え方が合うので会ってみたいと思ったらしい。

私も「青年社長」など渡邉さんの著書を読み、憧れていた人だったので会いに行った。最初は業務提携の話だったが、提携をするにあたって本気度も必要と、資本提携をすることになった。

――居酒屋業態は総じて不振が続いている。その中でもワタミは特にブランド価値を毀損している。そんな会社になぜ、出資するのか?

ワタミは居酒屋の会社と思われがちだが、(もうひとつの主力事業である)宅食はまだまだ伸び代がある。ワタミと一緒に、弁当だけでなく、パックごはん、野菜など色々な食材を提供していきたい。

神明はコメだけでなく、小麦粉や砂糖など色々な食材を扱っている。540拠点あるワタミ宅食の営業所を活用して、買い物難民になったシニアなどにサービスを提供すれば、両者で相乗効果が見込める。

もうひとつがファーム(農業)事業だ。自分たちで生産した農産物を流通させているのはワタミとイオンアグリ創造だけだと思う。日本の農業就業人口は2015年で209万人、わずか5年で50万人減った。

われわれのような企業が農業に入っていって、最低でも年収500万円以上は稼げるように変えていかなければ、若い人たちが入ってこられない。ワタミはB to Bの経験がないので作った野菜を自分の店で使い切れない。それをわれわれの販売ルートに乗せていけばいい。

次ページ神明が外食業界に進出する本当の狙い
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