ワタミ、介護売却で問われる「居酒屋」の実力 売却資金で財務状態は大幅に改善
「厳しい結果。予断を許さない状況だ」。
居酒屋大手のワタミの清水邦晃社長は険しい表情をみせた。11月11日に発表された2016年3月期第2四半期(4~9月期)業績は、売上高696億円(前年同期比10.3%減)、営業赤字14億円(前年同期は10億円の赤字)、最終赤字20億円(前年同期は41億円の赤字)と、中間時点では2期連続の営業赤字になった。
業績不振の最大の要因は、国内外食事業、つまり主力業態である総合居酒屋の低迷だ。今年4月に客離れを食い止めるため、平均皿単価を約1割値下げした。が、「メニュー数が少ない」と客に不評で、今秋には再びメニュー数を増加。既存店売上高は、定休日導入や営業時間短縮の影響もあり、会社想定を下回る状況が続いた。
宅食事業についても、弁当を客に配達する、まごころスタッフの不足という問題を抱えている。集中して広告宣伝を売った上期、一定の新規客を獲得できたものの、十分な継続率の向上策が打てず、その後はジワジワ配食数が下がっている。
介護事業は損保ジャパンへ
こうした状況から、ワタミは12月1日付で、介護事業を損保ジャパン日本興亜ホールディングスに売却する。清水社長は今年6月の株主総会で、主力3事業の回復に向けて、全力を尽くす方針を示していた。
それが一転して、収益柱である介護事業の売却を決めたのは、第1四半期決算が出たタイミングだという。外食、宅食とも計画を下回る内容に、「これ以上は難しいと判断した」(清水社長)。
「介護は10年関わった事業で思い入れもあり、非常に残念な結果となった」。介護事業のトップを長らく務めた、清水社長にとっては、まさに苦渋の決断だった。
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