日本がモノづくりを捨て別の道を進むことはない--桜井正光・経済同友会代表幹事

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理数系離れが進み、現場のキーマン減少

--日本流の経営の強さとはどのようなところにあるのでしょうか。

1980年代後半に英国の子会社で社長を務めるなど、私もヨーロッパ駐在の経験が長かったのでわかるが、日本の強さとはモノづくりにおける「現場力」だ。現場力というのは、ボトムアップのこと。現場で働いている人々が品質を落としている原因のありかに気づいて、仕事のやり方を見直していく。いわゆるカイゼンだ。現場から上がってくる、このようなスタイルはヨーロッパでは皆無だ。

日本では作業者がカイゼンをする。それは、現場の日々の作業の中で、どこを変えるべきかを作業者自身がいちばんわかっているからだ。現場の人たちが問題点に気づいていて、自主的にそれを始めている。

これがヨーロッパだと、「私たちはカイゼンに関する給料をもらっていない」となる。あるいは「それは生産技術部門の仕事だ」と言う。一方、生産技術部門は現場で仕事をしていないから、こうした現場の問題点を把握できない。現場の作業者が気づいているが、カイゼンを行わないというのがヨーロッパだ。

--逆に、日本の弱さは。

トップダウンの、つまりビジョンづくりに関しては、日本は非常に不明確だ。それからあまりにもハードウエア、つまりモノにこだわりすぎる。 携帯音楽プレーヤーでは米アップル社の「iPod」があっという間に業界を席巻した。

これは「ハードウエア+システム構想力」の製品だ。つまり、音楽を再生するハードウエアだけを提供しているわけではなく、いつでもどこでも好きな音楽をダウンロードして楽しめるという「音楽を聴く」というシステム全体を提供している。ユーザーにとって、どうあれば使い勝手がよいかを考えて、楽曲の入手・管理から曲の再生まで快適に行えるシステムを作り上げている。

だから日本もモノだけでなく、ユーザーが使うシーンまで想像して、システム全体として開発するようにしていかなければならない。それができれば、中国や韓国が追いかけてきても大丈夫だろう。

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