米国以外「すべて沈没」という驚愕シナリオ 影のCIAが「地政学」で2030年の世界を読む
自分の出した結論を気に入っているかというのは重要ではない。この記事は、私がこうあるべきと考えることを実現するためのアドバイスではない。むしろ今後起こるはずのことを予測する記事なのだ。
自由貿易体制が終焉、ヨーロッパと中国は没落
2015~2030年にかけてのホッブズ主義的な時代は、21世紀の中でも米国中心主義的な傾向が最も弱い時期になるだろう。なぜなら2030年までに起きる3つの出来事の結果、それ以後の世界は米国の思いのままになるからだ。
重要なのは、このすべて、つまり自由貿易体制の終焉、世界的な人口減少、ヨーロッパと中国の没落は、すべて移行期に起きる一時的な出来事にすぎないということだ。2015~2030年までの間に、古い冷戦体制は最終的に一掃されるだろう。それは歴史の終わりではない。次に来るもののための準備期間にすぎないのだ。
そして現れる新しい時代は、驚くべきものになる。
まず、米国以外のあらゆる国はこの15年間、過去のシステムから残されたものを手に入れようと互いに激しく争うだろう。資源や市場を獲得するための競争の激化。海洋国間の競争の再発。さまざまな困難――特に人口問題――に見舞われた国でも攻勢をかけることを可能にする新技術の開発。人間の手を最小限にしか介さず、大きな破壊力を持つドローンが米国の専売特許であり続けると信じる人が本当にいるのだろうか? それは以前とはまったく異なる、わくわくするような、恐ろしい時代だ。そしてその結果破滅する、あるいは消耗する国も少なくない。米国人が競争相手と見なすすべての勢力――特にロシア、中国、ヨーロッパ共同体――は思いがけない脆弱さを露呈するだろう。
次に、この混乱と破壊のすべてでなくとも大半は、米国を素通りするだろう。15年にわたる競争と痛みと不足の代わりに、米国は安定した市場とエネルギー供給のおかげで、15年間の穏やかな成長を実現することができる。2014年の時点ですでに米国は世界に冠たる大国の地位を得ている。2030年には、この国は絶対的にも相対的にも圧倒的な強さを誇る一方、世界のほかの多くの国は現状を維持しようと苦闘し、そして大半が失敗するだろう。米国は侵略されず(外国を侵略することはあるかもしれない)、他国の海戦を無関心に眺め(漁夫の利は得るかもしれない)、なぜ誰もが突然ドルを再び欲しがるのかいぶかる(しかし喜んでそれを提供する)だろう。米国は参加する戦いを選ぶこともできれば、世界から完全に引きこもることも可能なのだ。
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