米国以外「すべて沈没」という驚愕シナリオ 影のCIAが「地政学」で2030年の世界を読む
簡単にいえば、世界は確かに破滅に向かっている。しかし米国だけがそれを免れるのだ。
日本には軍事的、文化的、体制的な底力がある
いろいろな意味で、日本は最悪のタイミングで世界の先駆けとなっている。2025年には平均年齢が51歳になることが予測されているこの国は、すでに紛れもない世界最高齢社会だ。高齢社会では年金や医療費などがかさむために政府の支出が増大し、一方消費が冷え込むため、需要減、雇用減、経済の停滞という負のスパイラルが発生する。日本社会を見ればそれは明らかだ。日本人になじみのある言葉で言えば、デフレが起きるのだ。米国の無関心、人口の高齢化、そしてデフレスパイラルが、今このタイミングで日本の問題から世界の問題になるというのは、このうえなく間が悪い。
しかし、世界がばらばらになり、日本政府が新旧の課題に対処しなければならなくなっても、実のところ日本はほかの多くの国よりもはるかに有利な戦略的位置に立っている。たとえば以下のように。
・日本ではすでに高齢化が進行しているとはいえ、その人口構造には有利な点も見られる。日本では1970年代にベビーブームが起きた。当時、生まれた人々は今では35~45歳になり、最も多額の税金を支払う年齢に達している。そのため資本蓄積という点では、特に高齢化が急速に進行している国々に比べると、状況はまだまだよい。
・主要国の間では唯一のケースだが、日本の借金はほぼ完全に国内にとどまっている。したがってこれにどう対処するかは国際金融の問題ではなく、内政問題なのだ。日本の銀行、金融当局や企業、あるいは有権者に対して外部からは誰も指図できない。
・日本には、世界で最も先進的な産業基盤と最も高い技術を持つ労働力が存在する。たとえ、貿易関係の崩壊と財政赤字の増大によって技術の開発もその応用も不可能になっても、日本は相対的にも絶対的にも非常に有利な立場からスタートできることに変わりはない。
・日本には世界で2番目に強力な海軍がある。エネルギー供給と貿易の安全確保のために船団を組まなければならない時代には、これは非常に大きな意味を持つ。
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