廃棄食品横流しのダイコー、「隠し倉庫」の闇 実は県の担当者も知らない保管場所がある

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近所の人は「トラックが不定期に来て、荷物の積み下ろしをしていた」と証言する。「最近では2カ月ぐらい前にも来たが、来ないときは半年ほど来ない。ただ、中に堆肥があったから、においがひどくて文句を言ったこともある」。

この住人は、10年ほど前からあるこの施設を出入りする大西会長と、何度も会っている。悪臭について苦情を伝えると、会長はすごむわけではなく、むしろ「朗らかに気安く話を聞いてくれる」印象だったという。本社でつくる肥料が「なかなか売れん」と言って、会長自らがわけてくれることもあった。

「普通の人だったから、これだけの騒ぎになってよう出てこれんのだろう。横流しはもちろん悪いが、ごみ処理にはああいう人もおらなあかんのでは」とつぶやいた。しかし、「あの会社とはもうかかわりたくない」と、うんざりした様子で話す住民もいる。

処理品目拡大の裏で行われた不正

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「marukome」「プラス糀 生塩糀」「賞味期限2014.03.29」の文字が読める

そんな施設に野ざらしだった「マルコメ」の商品。マルコメの広報部の担当者はこれまでの発表にない商品と認めた上で、「ダイコーの敷地内にあるということは横流しされず、出回っていない可能性もあるわけだが…。すでに警察の捜査が入っているので、それに協力して見守るしかない」と力なく答えた。

マルコメが返品されたみそなどをダイコーに廃棄委託し始めたのは2014年3月20日から。今回、この現場で新たに見つかった「生塩糀」は、賞味期限からさかのぼると2013年10月末ごろの製造品だ。ダイコーとの取引初期の商品と推定される。大手メーカーから調子よく商品を引き取り始めたダイコー側は、端から処理するつもりがなかったか、できなかったのか。いずれにせよ、主力商品の一つがここまでずさんに扱われていたことを、メーカー側は誰も把握できていなかった。「排出事業者責任」という言葉が虚しく響く。

1978(昭和53)年、運送会社として創業したダイコー(ダイキン)は、1996(平成8)年に愛知県から中間処理業の許可を取り、産廃処理業に乗り出した。当時、取り扱おうとしていた廃棄物は「汚泥、廃酸、廃アルカリ、動植物性残さ」の4種類で、処理方法は「乾燥」のみ。その後、愛知県や名古屋市で収集運搬の許可も取るが、取り扱い品目の種類はしばらく変わっていない。それが2007(平成19)年には、収集運搬の届け出に「燃え殻、廃プラ、紙くず、木くず、繊維くず、ゴムくず、金属くず、ガラ陶、鉱さい、がれき、ばいじん」が加わり、計15種類に。そして社名がダイキンからダイコーに変わった2012年には17種類、中間処理の処分方法も「乾燥、破砕選別、混錬、発酵」に拡大していた。

さらに見逃してはいけないのは、それまで「積替保管を除く」としていた収集運搬の届け出の一部が、「積替保管を含む」に変わったことだ。

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