菊地信一
面接対策など立てられるはずもないことを知れ!
その都度相手は変わる。
例を挙げてみよう。「面接において、“立て板に水のごとく”スラスラと話せるタイプが有利になる」!?みなさんはどう考えるか?おそらく「そのとおり」と考え、自己PRの文章を一生懸命暗記しているに違いない。だが、いくら暗記をしていっても、面接の独特な雰囲気に圧倒されて、すべてを忘れる羽目になることは間違いがない。面接では、暗記したことを相手に伝えることなど、まったく無意味だ。それこそ無駄な努力と断言しても構わない。一方で「あがらないコツを教えてください」との質問も相次ぐ。冷静になって考えてもらいたい。暗記したことを思い出そうとするから、余計あがるのであって、暗記などしなければ、それ以上にあがることはないのだ。よく、みなさんが話す「頭が真っ白の状態」とは、暗記したことをうまく言葉に出せない姿を指している。一刻も早く、この矛盾から脱却してもらいたい。そして「面接は会話」だと認識することこそ、成功への第一歩だと考えよう。
「マニュアル本には、このように書いてあったので、それをそのまま話したら、あまりうまくいきませんでした。どのようにしたら、よい結果が出るでしょう?」なる疑問も多い。結論はひとつ。マニュアル本に記されている例は、あくまでも著者の知りうる“ひとつの正解”でしかないということだ。みなさんがエントリーシートの書類選考もめでたく通過し、15社の面接に臨んだと仮定してみよう。通常、企業の面接は1社あたり最低3回だ。最終面接まで残ったとして、15社×3=45回の面接を受けることになる。さて、みなさんは、その面接官ごとの性格・考え方・話し方の特徴を踏まえて、45通りの会話ができるだろうか?出来る人など皆無に近いだろう。そう、45パターンの相手に合わせた「模範的な会話」など存在するはずもないのだ。
以前もここで記したように「ひとつの正解を求める行為」は、そろそろやめにしないか。言ってみれば45パターンの正解を考えることこそ、大きな無駄につながるのではないか。マニュアル本に記されていることを一概に“ウソ”と決めつける気持ちは毛頭ない。ただ多くの真実が存在する中での、ひとつの真実なのだと思うことこそ、マニュアル本の有効な利用法と知るべきだ。
以上のように、みなさんは面接に対して、ある種の誤解を抱いている。まずはその誤解を解くところからスタートしなければならない。そして、その誤解とは?メンタル面から考えて「試験を受ける」という意識を捨てることだと認識してほしい。面接の対策ではなく、面接=会話に慣れることが肝要なのだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら