「5分遅刻」で信用をなくす人に足りない視点 逆算式で遅れない!ANA社員の時間術
ANAのCAは、ここまで細かい予定を毎回逆算し、「いま何をすべきか」を決めているのです。別のベテランCAも、「フライト前の一定時刻には、CAはお酒を飲むのを控える。滞在先でCA同士が食事をとる場合も、逆算する習慣が身に付いているので、『そろそろお酒が飲めなくなる時間ですよ』と自然発生的に“タイムキーパー”があらわれる」と言います。
それくらいCAの中では逆算するのがくせになっており、プライベートの予定も、逆算したスケジュールを前提に立てています。
「NGが出ること」を前提に逆算する
フライトでは悪天候などにより担当する乗務便が変わったりするなど、突発的なスケジュール変更が発生します。したがって、ANAのCAは、逆算をするとき、たとえ突発的な予定が入ったとしても、決められた日時までに準備が完了しているように、余裕を見た段取りを組んでいます。
整備作業においても、運航間に機体の不具合を修復するような場合、整備作業にかかる時間を予測し、出発時刻から逆算して考えます。出発時刻までに作業が完了せず、便が遅延すると考えられる場合には、事前に機体の入れ替えの調整をするなどして、お客様にできるだけ迷惑をかけないよう心掛けています。
定時運航にかける思いとタイムマネジメントの考え方は、パイロットも整備士もほかの部門の社員もみな同じです。
逆算の重要性については、上司から何度も指摘されてきたと、あるANAの管理職は言います。たとえば、上司から稟議の承認を得たいという場合、多くの人は上司からOKが出ることを前提にしたギリギリのスケジュールで動きます。だから、いざ上司からNGを出されると、「今日中に承認を得て発注しなければならないんです!」と言って慌ててしまう。
この場合、稟議がスムーズに通らないことを前提に段取りをつけなければいけません。「今日、稟議書を起案すれば、明日には承認してもらえるだろう」などという希望的観測をしてはいけないのです。