「5分遅刻」で信用をなくす人に足りない視点 逆算式で遅れない!ANA社員の時間術

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30年以上整備部門に在籍し、ANAビジネスソリューションでヒューマンエラー対策講師を務める山内敏幸は、こう話します。

「整備が必要な飛行機を、次のフライトまでに整備して飛ばすためには、事前の情報入手、部品や工具、マニュアルの準備、そして作業者同士の意思疎通をはかっておくことが大切です。そして、つねに想定どおりにいかない場合のことまで考えて準備をしておきます。

たとえば、事前情報と少し異なる、予定していた作業に追加作業が発生する、標準作業時間から大幅なズレが生じる……といった状況などです」

想定どおりの部品や工具で済む場合を100%とすれば、事前に120%の準備をしておくのです。

プライベートのスケジュールも逆算して決める

締め切りが設定されている仕事の場合、多くの人は「だいたいこのぐらいまでに○○のデータ調査、このぐらいまでに○○の資料ができていれば本番に間に合うだろう」という感覚をもって、仕事にあたっているのではないでしょうか。

「ANAのCA(客室乗務員)たちは、この『逆算』がライフワークになっている」と述べるのは、20年以上客室センターに在籍し、現在もチーフパーサーとして乗務している、ANAビジネスソリューション接遇マナー講師の加藤絵里子です。

たとえば、平日の朝9時、羽田空港発の国内線に乗務するCAのフライトまでの流れを「逆算」式で見てみましょう。

出発時刻(9:00)

・乗客を乗せ出発

フライト20分前(8:40)

・ボーディング(乗客を機内に案内)

フライト25分前(8:35)

・フライト前のブリーフィング(パイロットとCAが一堂に会して、フライトに関する情報や緊急時の対処方法などを確認・共有する)

フライト40分前(8:20)

・ 客室の確認、機内準備(乗客のみなさまにご搭乗いただくための客室内の確認と準備を完了させる)

フライト1 時間前(8:00)

・羽田空港にある客室センター出社し(客室センターは、客室部門のオフィスであり、ここから飛行機へは、この便の場合10~15分ほど)、CA同士でブリーフィング

フライト3時間前(6:00)

・自宅を出発、身支度(空港の客室センターまでの通勤時間と、身だしなみを整える時間を逆算して6:00には自宅を出発する)

フライト4時間前(5:00)

・起床(6:00の自宅出発に向けて、1時間前に起床)

フライト前日

・就寝(7時間の睡眠時間を確保するため、前日22:00までには就寝)

・翌日のフライトの直前勉強(乗務する路線で提供するサービスや保安に関する知識を確認しておく

・飲酒ストップ

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