【産業天気図・商社】総合商社は資源関連が牽引し業績は「晴れ」だが、事業環境全体は「曇り」に

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総合商社の2008年も資源高に支えられ業績的には「晴れ」が続く。ただ、世界経済の悪化で事業環境は不透明感を増しており、事業ごとに天気はまだら模様となりそうだ。
 1バレル100ドルを突破した原油は、相場の変動リスクも高まっているため、通期での業績への貢献の見極めは難しい。長期契約で1年ごとに価格を決める鉄鉱石、製鉄に使われる原料炭の値上がりは確実にプラスとなる。鉄鉱石はすでに新日鐵とブラジルの資源大手ヴァーレの間で、08年度は前年度から65%値上げで決着した。豊富な鉄鉱石権益を持つ三井物産<8031>を筆頭に伊藤忠商事<8001>なども増益要因となる。
 原料炭の08年度の価格交渉はまだ決着していないが、大幅に値上がりすると見られている。原料炭といえば、三菱商事<8058>への恩恵が強い。が、三菱商事はオーストラリアに持つ炭鉱が今年1月と2月の豪雨により、一時的な出荷義務免除の不可抗力宣言を行った。6月までに生産・出荷が2割減となる予想を公表しているが、実際の影響が見極められていない点は心配である。この不可抗力宣言でよりタイトになった需給関係が価格交渉にどういう影響を与えるかも不透明感が漂う。鉄鉱石並みの値上がりならば、2割程度の減産を吸収し、利益が増える可能性が高い(事故被害額も一部保険でカバーされる可能性もあり現状見極めが付かないが)。
 原油、鉄鉱石、石炭に加え、銅や金など資源が軒並み高騰しており、住友商事<8053>や丸紅<8002>にとっても追い風である。ただし、個々の企業を考えると、07年度に権益売却益や合併関連の利益など一時的利益を計上している場合もあり、単純に増益になるかはわからない。川中、川下の業界は資源高で利益を圧迫されるため、商社の業務にも逆風となろう。米国での住宅事業関連は低迷が続く。米国景気の悪化で、新興国の好調を持続できるかといった懸念も残る。円高もマイナス要因だ。それでも、資源からの利益増は大きく、各社とも高水準の利益を維持しそうだ。
【山田 雄大記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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