はびこる不誠実対応「学校での事故」の悲痛な実態 「真実を知りたい」と願う当事者たちの闘い
詳しい説明の場が設けられることを待ち続けた
横浜市の松田容子さん(52)も、学校の対応に傷ついた1人だ。
2013年2月、卒業旅行で長野県を訪れていた小学校6年の長女・伶那(れいな)さん(当時12)を亡くした。伶那さんは、スキー場でそり遊びをしていた際、突然「疲れた」と座り込み、友人が気づいたときには倒れていた。近くの病院に搬送されたときには、すでに心肺停止だった。
松田さんが学校から連絡を受けたのは、当日の午後4時すぎ。夫(52)とともに4時間以上かけて病院へ駆け付けた。その時点で伶那さんは、すでに息を引き取っていたという。
手を握ると、まだ温もりが残り、眠っているようだった。医師から搬送時の様子や処置について説明を聞く。そして、死因を調べるために解剖するかどうかの判断を委ねられたが、夫は「かわいそうだ」と反対。別の病院での対応になることもあり、悩んだ末にあきらめた。
日付が変わるころ、教頭らと面談した。話の最後に「もしご葬儀がお決まりでしたら、お知らせください」と言われた。
「生きていると信じて駆け付けて、いま対面したばかりなのに、葬儀の日にちなんか決まってるわけないじゃないですか」
松田さんは、ぐっと怒りをこらえたという。
葬儀のとき、そして葬儀の数日後、校長や担任教諭らが何度か自宅に足を運んできた。伶那さんの旅行中の様子について話してくれた。ところが、3月中旬の訪問時は、詳しい説明もなく、「また今度」と帰っていく。松田さんは、詳しい説明の場を設けてもらえると期待しながら待ち続けた。
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