与党大敗が示す「デフレ脱却」の賞味期限切れ 「手取り増」はさまざまな課題を詰め込めるフレーズ
自民惨敗の原因は裏金だけか。国民は物価高にあえいでおり、その背景には円安がある。
衆院総選挙は与党大敗で幕を閉じた。その投開票について、筆者はテレビ東京選挙特番に出演しつつ、その趨勢や要人発言を注視した。
印象的であったのが、石破茂首相はもちろん、躍進を遂げた立憲民主党の野田代表や国民民主党の玉木代表といった野党党首たちの表情も浮かないものであったということだ。質疑応答からは裏金問題が争点化する中、有権者は自民党を避けたのであって野党が選ばれたわけではないという実情を理解しているようにも思えた。
実際、野党単独で比較第1党になれたわけではなく、これから待ち受ける政局不安定が視野に入るからこそ喜べないということであったのかもしれない。
トリプル安にはならず...株高に持続性はあるのか
番組中で筆者が行ったいくつかのコメントのうち、その後に大きな反響を頂戴しているのが「金融市場でリスクシナリオに分類されていた『自公過半数割れ』が現実化した以上、まずは日本丸ごと売り、トリプル安というファーストリアクションではないか」といった趣旨の発言であった。
実際、10月29日の東京時間では円安・株高・債券安(金利上昇)でトリプル安にはなっていない。
考え方としては「すでに過去1週間で自公過半数割れは織り込まれていたから」、もしくは「単純に円安を反映しただけ」という可能性はある。
ちなみに、一部では「(自民党総裁選で高市氏が優勢となったことを受けて起きた円安・株高の)高市トレードの復活」と次の政局を見据えた動きとして解釈する向きもあるようだ。
だが、与党大敗と今後の政局不安定は見えている話であるため、株高の持続性には疑義は持たざるをえない。
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