10月1日、住宅ローンに携わる金融機関や不動産会社の関係者が気を揉んでいた。ほとんどの銀行が4月と10月に金利更改を予定しており、各社の戦略が明らかになるからだ。とりわけ住宅ローン市場の大半を占め、0.01%刻みで競争が繰り広げられる変動金利型の動向に注目が集まっていた。
既存顧客向けの基準金利は0.15%引き上げる方針でおおむね一致し、引き上げを早々に公言する銀行も少なくなかった。反面、終盤まで流動的だったのが新規顧客向けの最優遇金利だ。「他行が引き上げればうちも上げられる。だが他行が据え置く中で、うちだけが悪目立ちしたくない」。ある銀行の住宅ローン担当者は、9月中旬になっても頭を悩ませていた。各行の担当者間で探りを入れる状況がギリギリまで続いた。
そして迎えた10月。関係者が驚いたのは、最優遇金利を据え置いた三菱UFJ銀行だ。住宅ローン市場を侵食してきたネット銀行に対抗すべく、低採算を覚悟した金利競争を仕掛けてきた。
据え置いた三菱UFJの思惑
「生涯利益などを加味して、採算が取れると判断した」。三菱UFJ銀行関係者は狙いをこう話す。
同行の対応は、大手行の中でも異彩を放つ。10月の変動型住宅ローンの最優遇金利は、三井住友やりそな、三井住友信託銀行は新規・既存顧客向けともに0.15%引き上げ、みずほも2025年に入ってから引き上げる方向だ。三菱UFJ銀行の0.345%という数値は、ライバル行はおろかネット銀行をも下回る業界最低水準だ(下表)。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら