「東大を出れば安泰」ではない時代に必要な教育 子どもの思考力を深めるため家庭でできること

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母と話す小学生の女の子
普段から家庭内でさまざまな会話をしていると、小さな頃から物事を深く考える習慣が身についていきます(写真:tomcat / PIXTA)
精神科医として仕事をする傍ら、受験や勉強法に関する本を300冊以上出版し、40年にわたって受験生の通信指導や、東大・医学部合格のための専門塾を経営してきた和田秀樹氏。その経験から「自分から学ぶ意欲を持つ子どもが、最終的にいい結果を出している」として、そうなるためには日常的に「わかる!」「できる!」と感じる成功体験が重要だと語ります。その鍵を握るのは「語彙力」だという和田氏の著書『5歳の壁: 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』から一部を抜粋し、「子どもの思考力を深めるために家庭でできること」についてご紹介します。
1本目:「東大を出れば安泰」ではない時代に必要な教育(本記事)
2本目:「褒める・叱る」子どもの未来を育むバランスの妙

「ニックネーム禁止」は短絡的な思考

子どもには早いうちから「考える力」=思考力を身につけてほしいところですが、その「考え」とは、柔軟で多角的なものであることが重要です。つまり、広い視野を持つということです。

たとえば、今の小学校ではいじめ防止のため子どもに他人の悪口を言わせないという指導方針になっています。それだけではなく、昨今は「ニックネーム禁止令」が出され、友だちを呼ぶ時は「○○さん」と名前で呼びなさいと指導している小学校も少なくありません。

その理由は、ニックネームがいじめのきっかけになるからだそうです。

確かに悪意のあるニックネームをつけられたら子どもが傷つきますから、そこは大人が気をつけて見る必要がありますし、場合によってはきちんと注意すべきですが、本来ニックネームというものは友だちや仲間同士で親しみを表すものであり、親密性を高めるきっかけになるものです。

すべてのニックネームを「いじめにつながるから禁止」とするのは、短絡的な思考でしかありません。

子どものいじめを恐れるなら、そんな表面的な禁止令よりも、子どもがいじめられた時にどうすべきか、人をいじめるとどうなるのかを徹底的にしっかり教えておくべきです。

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