「東大を出れば安泰」ではない時代に必要な教育 子どもの思考力を深めるため家庭でできること

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そうした力を持っている人の方が、仕事ができるのは当然のことですが、精神科医として言わせていただくと、その方が将来的にうつ病になりにくいとも言えます。

「これでなければいけない」と一つの方法にこだわって先に進めない人よりも、「これ以外にもいろいろな道がある」と柔軟に考えられる人の方が精神的な落ち込みが少なく、うつ病になりにくいのです。

当然、何かがうまくいかない時でも他の方法を探せる人の方が、心が柔軟で生きやすいということです。

「東大を出れば安泰」の時代は終わった

現代は、一流大学を卒業すればそれでいいという時代ではなくなりました。もはや「東大に入りさえすれば安泰」という考えは危険です。

もちろん偏差値の高い大学を卒業していれば、職業選択の幅が広がるのも事実です。

たとえば、研究所やシンクタンク、あるいはコンサルティング会社などに入りたい場合は、日本では一定レベルの学歴が求められることが多くなります。

学歴次第で官僚やコンサルタントになれる可能性も高くなりますし、起業する道も開けているわけです。したがって、将来の選択肢の幅を広げるためには依然として学歴は重要と言えます。

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ただし、いくら学歴が高くていい選択肢を選べたとしても、そのままずっと出世できるとは限りません。

なぜなら、現代の仕事環境で求められるのは、上からの指示に従うだけでなく、自分で問題を見つけてそれを解決する能力だからです。

子どもを有名塾に入れれば安心だと短絡的に考えるような親に育てられ、親や塾の言いなりになって勉強してきた人は、上から言われたことをする能力は高いかもしれませんが、実際に社会で問題にぶつかった時にどうすれば乗り越えられるかという対応力が育っていないことも少なくありません。

そういう「指示にきっちり従うのが仕事」と考える人が順調に出世できたのは一世代前までです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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