はびこる不誠実対応「学校での事故」の悲痛な実態 「真実を知りたい」と願う当事者たちの闘い
障害見舞金については、学校からの案内で、日本スポーツ振興センターに給付を申請した。ところが、ゼロ回答だった。
この見舞金は、障害の等級ごとに決まった補償額が支給される。他方、障害のある人が事故に遭った場合、事故前の等級と事故後の等級の差額しか支給されない。啓太さんはもともと1級だったため、差額はゼロという見解を示された。
「これだけ状態が変わっているのに、支給されないっておかしいと思いました。事故の後、学校には安全対策も求めたんですが、反故にされたので、久留米市の教育委員会に尋ねたら、『学校側には何も責任がありません』と言われちゃって」
教諭は10カ月以上前に給食介助を心配していた
啓太さんが事故前、どんな学校生活を送っていたのか。それを知りたいと、河村さんは学校文書の開示請求をしていた。すると、啓太さんについて話し合った会議の資料が出てきた。事故の10カ月以上前、啓太さんへの給食介助のあり方を心配する教諭らのやりとりが記されている。起こるべくして起きた事故だった。
河村さんは2014年、市と日本スポーツ振興センターを相手に損害賠償などを求めて提訴した。一審、二審ともに、学校側の責任を認め、市に損害賠償を命じたが、センターに求めた障害見舞金の給付は認められなかった。現在上告中だ。
また2018年には支援者らと「すべての障害者への公正かつ平等な事故補償を求める会」を立ち上げ、制度改正に向けた活動に力を入れている。
「(開示資料でわかったように)先生たちの中で啓太の様子に不安があったのですから、親である私に相談できていれば、こんなことにはならなかったと思います。何カ月も介助していて本当に怖かったのでは、と思う。給食介助だけでなく、不安な気持ちを持ちながらの行動は危険ですよね」
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