医局に入らないことを決めた医師の"その後" 辞める前に知っておくべき「リスクとリターン」
今の仕事が合わない。組織を離れて腕を試したい。独立はキャリアの中でもとりわけ大きな意思決定だ。成功した人はどのように考え、判断するのか。『泣くな研修医』『俺たちは神じゃない』など医療小説がヒットする中山祐次郎さんは「暗闇でジャンプ」したと明かす。仕事人生を一段上に上げるためのしたたかな計算とは? 「なぜ働くか」を息子に伝えた『医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵』より一部引用、再編集して紹介する。
組織を離れる時のしたたかな計算
医局に入らない、つまり医者の中でマイノリティ(少数派)として生きると決めた僕は、頭の中でしっかり損得勘定をしていた。計算なしに過酷なほうに飛び込んだわけではない。そこにはしたたかな戦略があったのだ。
実例を示したい。僕の人生をかけた実例だ。
ちょっと説明すると、外科医の9割は医者になってから3年目(まれに6年目)に医局という組織に所属する。医局というのは、「〇〇大学外科学講座」などと名前がついていて、大学ごとに、そして科ごとにある。
自分がどこの大学を出ていても関係なく、だいたいどこの医局にも入ることができる。昔は外科や内科を選ぶ人が多かったのだが、今は大変な割に給料が少なかったり生活の自由がきかないことでだいぶ減ってきたから、どの医局も医者集めに必死だ。
医局に入ると、だいたいそこから15年くらいどんな人生を歩むかが決まる。
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