N国党台頭で話題沸騰する「NHK受信料」の現実

なぜ今「NHKをぶっ壊す」が票を集めるのか

海外の制度を見てみると、例えばドイツでは、全世帯と事業所が支払い義務を負う放送負担金を公共放送の主な財源としている。テレビを持っているかどうかにかかわらず、公共放送の運転資金を国民全体で公平に負担すべきであるという考えに基づいているわけだ。

また、イギリスでは、BBC(英国放送協会)の受信料制度の法的拘束力は日本よりも強く、支払わないと罰金を課せられる。さらに、フランスやイタリアなどでは、国営放送として税金で運営している。

こうした国と比較した場合、NHKはあくまで任意の受信契約をもとに運営している以上、放送の独立性は高い水準で確保される仕組みとなっているといえるだろう。他方で、受信契約の締結・受信料の支払いを拒絶することが事実上可能となっているため、国民間における負担の公平性という意味では、幅のある緩やかな制度となっている。

それでも、直近のNHKの決算発表によれば、平成30年度の受信料収入は、7122億円と過去最高額に達している。支払い率についても、2004年のプロデューサー制作費着服に端を発した不祥事の際には70%程度まで下落したものの、近年ではだいぶ盛り返しており、過去最高の81.2%にまで達している。表面上は、国民の多数が現行の受信料制度を支持していると言えるだろう。

近年相次ぐ受信料をめぐる裁判例

そうであるとすれば、なぜ今「NHKをぶっ壊す」というテーゼが票を集めることができるのだろうか。その一つの理由として、情報社会の複雑化に伴う情報獲得手段の多様化が背景にあると考えられる。

今年3月には、ワンセグ放送を受信できる携帯電話を持っていれば、NHKの受信料契約は必要という判決が出た。携帯電話を「携帯」することが受信設備の「設置」にあたるのか。言葉の自然な意味を考えるとかなり微妙ではあるが、東京地裁はこれが受信設備の設置にあたると判断し、最高裁が上告不受理をしたためこの判決が確定している。

さらに、今年5月には、テレビ放送が見られるカーナビでも受信契約が必要という判断が東京地裁で下された。放送法64条1項但書には、「放送の受信を目的としない受信設備」については、受信契約を結ぶ必要がないとしているため、カーナビがあてはまるかどうかが争われた。

この点につき、東京地裁は、放送の受信を目的としているかどうかは利用者の主観ではなく、客観的・外形的に判断するのが相当だとして、カーナビは「放送の受信を目的としない受信設備」には該当しないと判示している。

こうした判断には、疑問を持つ人は少なくないだろう。携帯電話やカーナビ購入者のほとんどは通話や道案内のために買うのであって、テレビを見ることを主目的としているわけではないからだ。仮に携帯電話やカーナビがたまたまテレビ放送を受信できる機能を備えていたとしても、あくまでそれは副次的なものでしかない。

テレビを持っておらず、NHKを見ているわけでもないのに、携帯電話やカーナビを購入したからといって受信料の支払いを強制されれば、NHK受信料制度に対する国民の不満・不信が募るのは自然なことだろう。

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