N国党台頭で話題沸騰する「NHK受信料」の現実

なぜ今「NHKをぶっ壊す」が票を集めるのか

「放送の独立性」と「負担の公共性」という2つの観点で考える必要がある(写真:mizoula/iStock)

今年7月に行われた参院選では、新興勢力である「NHKから国民を守る党」(「N国党」)が議席を獲得したことが大いに話題となった。N国党は、自身もNHKにかつて在籍していた立花孝志氏が率いる政党だ。公然とNHKを批判するその姿は、従来の政党とは違って一風変わったイメージを与えた。あろうことか、NHKの政見放送で「NHKをぶっ壊す」と叫ぶ姿は、またたく間にインターネットを中心に話題を集めていった。

同党はすでに国政だけではなく、4月に行われた統一地方選においても、首都圏や関西のベッドタウンを中心に26人が当選しており、改選前の既存議員と合わせると、地方議員における勢力も39人まで拡大している。次回の衆院選でもさらに勢力を拡大する見通しが強い。

その政策は極めてシンプルで、一律強制でNHKに受信料を支払うのは不当であるとして、放送スクランブル化を訴えている。これが実現されれば、受信料を支払った人のみが視聴することができ、NHKを見たくない人は受信料を支払わなくてもいいということになる。WOWOWやスカパー!のような有料放送と同じ仕組みとなるわけだ。

この風変わりなシングル・イシュー政党が支持を集めている背景には何があるのだろうか。公共放送のあり方というものについて改めて振り返ってみたい。

NHKの受信料制度―放送法64条の意義とは―

大前提として、公共放送の財源をどう確保するかというのは、「放送の独立性」と「負担の公共性」という2つの観点のバランスをどうとるかで決定されるといっていいだろう。

公共放送は、時の政府や政権におもねることなく不偏不党を貫いて真実を放送することがとても重要だ。この観点を重要視すれば、税金やスポンサーの広告料に依存しないことが望ましいと言える。他方で、公共料金を財源とする以上、国民間の負担は公平であることが望ましい。

この点を強調することになれば、税金による運営や罰則を設けて支払いの強制力を高めることとなる。支払った者が損をするような仕組みでは国民の支持は得られないからだ。みんなで平等に公共放送を支えることで公平感は担保される。

それでは、現状のNHKの受信料制度はどのような仕組みになっているのだろうか。放送法64条1項は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と規定している。つまり、受信設備であるテレビを設置した場合には、NHKと受信契約を結ぶことが法律上義務付けられているのだ。

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