いわゆる「マスメディアの記者」という部族には、愛想がよろしくない人も多い。そもそも、頭を下げてまで、金儲けをしたり、人におもねることを恥とする意識も強いので、ニコニコと人に応対する必要はないと思っている節がある。
筆者も御多分にもれず、新聞記者時代はかなり、不遜な態度だった。バブル期の誉れを忘れられない「セクハラ系おじさん」全盛期で、表面上はツンツンして、仲良くなると「デレデレ」甘える、いわゆる「ツンデレ」こそが、女性のモテの王道である、と信じていた。「第一印象は怖い人」と言われることが多く、そんな威圧感こそが記者の必須条件だと勝手に思い込んでもいた。
コミュ力の最強必殺技
しかし、記者の道をあきらめ、PRの世界に足を踏み入れて、待っていたのは「金儲けのためにはプライドも捨てる」という現実社会だった。とはいえ、しみついた「不遜なにおい」はどんなにファブリーズしたところで、消えることはないようで、「態度がでかい」「冷たい感じ」という評価はあまり変わらなかったように思う。
そんな筆者がアメリカで、‟コミュ力修業”を積む中で、思い知ったことがあった。「自分はコミュ力の最強必殺技にまったく気づいていなかった!」ということである。その答えは、きっと多くの人が「当たり前じゃん」と鼻で笑うようなことなのだが、「ツンデレ一本やり」で来た筆者は気づいていなかったのだ(加齢とともに、「ツンデレ芸」が効かなくなり、路線変更が必要ではないか……と思い始めて、ようやくこの気づきに至った次第でもある)。
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