秋葉原"少女売春が放置されている街"の真実 本当に「日本のダークサイド」なのか

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海外が誇張して報じるということは考えられることだが、こうした情報の多くは日本を発信源としている。普段は日本で活動していない国連関係者が、具体的な数字を挙げて日本を非難した背景には、そうした数字を挙げながら”日本の実情”を訴えた人物がいたと捉えるべきだろう。

実は前述の「日本の女子学生の13%が援助交際」は、当初翻訳ミスで”30%”と発信されたことも、この話題が国内で大きな話題になった理由だった。それとともに「なぜこのような根拠のない数字が、積極的に海外発信されるのか」についても注目が集まった。

国内問題の解決手段として、海外世論や国連などの組織を利用する手法は、時折見かける手法ではあるが、今回、筆者が問題に感じ取材を始めるきっかけとなったのは、同時期に広まった「この秋葉原の街は未だに、児童ポルノと児童買春にあふれています」という話題である。

これは女性の人権保護活動で知られる伊藤和子弁護士のツイッターにおける発言の一部で「明日、来日中の国連の児童ポルノ・児童買春に関する特別報告者とおあいする予定。この秋葉原の街は未だに、児童ポルノと児童買春にあふれています。警察はなぜあからさまな児童ポルノを野放しにしているのか疑問。国連から厳しい報告書を出してもらうよう、明日はしっかりプレゼンするつもりです♪」というのが全体のツイートだった。

なお、同氏はブーア=ブキッキオ氏との会合に出席しているものの、13%という数字を挙げた事実はない。しかし、外圧を通じて日本の警察を動かそうとしているような発言に捉えられ、”事実に即していないのでは”とネット上で反論を受けることになった。

本当に秋葉原が「児童ポルノと児童買春に溢れている」のであれば、ゆゆしき事態だ。伊藤氏は児童ポルノ、児童売春が秋葉原に存在することを確認したとの発信もしているため、発言意図を何度か質問してみたのだが返答はなかった。

「ポルノ」については下火になっている

 実態はどうなのか。まず”ポルノ”についてだが、かつて”着エロ”と呼ばれる、着衣を着たままエロティックな撮影をするコンテンツが流行し、児童ポルノ規制をかいくぐるために一部の業者が児童を使った”着エロ”写真集やDVDを販売していたのは事実である。しかし、現在は販売されておらず、コンテンツ制作も下火だ。

”着エロ”という言葉は、2001年に写真週刊誌に掲載されたレースクイーンのグラビアで初めて使われたものだ。当時はレースクイーンが自分自身やカメラマンを売り込むため、より過激な衣装に挑戦したのが始まりで、児童ポルノとは関係がなかった。

しかし、着エロが一種のブームになると「着衣を着せたまま撮影できる」ことを逆手に取って、17歳以下の”児童”を使った着エロ写真・DVDが増え始める。いわば脱法行為であり、その後、着衣を着ていてもポルノに準ずるコンテンツには規制がかけられている。以来、着エロ系コンテンツは年齢確認書類(免許証など)とともに撮影するなど、児童ポルノではないことを確認してから撮影されるようになった。

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