農業は川下から変わる、ブランド構築、情報化が農家を強くする《農業を変えるビジネス革命》


店頭では売り場スペースの都合上、なかなか伝え切ることができない「野菜の背景にある農家や販売者の思い」も、ネットなら十分に紹介することが可能だ。有機野菜などのネットスーパーを運営するオイシックスは1月、新規制値導入に先駆けて放射性物質の検査基準を独自に採用した「ベビー&キッズ商品」を開始。特設ページで安全・安心をアピールすることで、乳幼児を持つ母親などの支持獲得を狙う。

ネット通販大手の楽天は、7月9日に自社で食品宅配サービス「楽天マート」を始めた。既存の「楽天市場」のような場所貸しの「仮想商店街」モデルではなく、物流センターを所有し、自ら商品の仕入れ・販売に乗り出したものだ。売りは従来にない“普段使い商品”の提供。背景には昨年の東日本大震災直後、飲料水など日用品を満足に提供できなかった反省がある。当初はセンター近隣の都内4区(豊島、北、板橋、練馬)がサービス地域で、順次エリアを拡大する予定だ。

「楽天市場」に出店する農家にとっては、販売先の幅を広げる契機となりそうだ。食品分野は衣料や家電に並ぶ売れ筋商品ながら、まとまった量を注文しなければ買えない店が多かった。日常的な買い物には使いづらい仕組みだ。「マート」では、こうした商材を楽天が仕入れ、小分け販売する。たとえば、「楽天市場」でいちばん売れている卵の「信州伊那谷のたまごやさん」は80個以上でしか買えないが、「マート」では6個1パックから購入できる。一般消費者に手が届く量になったことで、販売数量の伸びが期待できそうだ。

楽天マートの橘田尚彦社長は「野菜をはじめ1次産品の直接取引を検討していきたい。将来的には自社で農場を運営することも視野に入れている」と夢を語る。

価格を自ら決められる直売所でブランド磨く

農産物のブランド化で、ぶっちぎりの成功例となっているのが、茨城県つくば市の農産物直売所「みずほの村市場」だ(タイトル横写真)。主力の1店だけで年間7億円の売上高を稼ぎ出す、この世界では別格の存在である。成功の裏には厳格なルールがある。それは、新たに同直売所を利用したい農家は「安さを売りにして出品してはいけない」ということだ。

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