【キーマンズ・インタビュー】人材育成によるノーマライゼーション社会の実現に取り組む--塩崎雅大・TOHOシネマズ人事労政部人材開発室マネジャーに聞く
この組織統合によって、TOHOシネマズは全国に約60サイトのシネコンを有し、ア
ルバイトを含めた従業員数は約4500名となるなど、企業規模が一気に大きくなった。その結果、障害者雇用率が法定雇用率を大きく下回り、ハローワークから「3年以内の是正」という行政指導を受けることとなった。
法定雇用率を達成するためには、特例子会社を設立して障害者を雇用する方法もあったが、様々な人事施策を実施していた組織統合直後のこの時期はきわめて多忙であり、現実的な解ではなかった。また、法定雇用率を満たす人数の障害者を、本社部門のみで採用するのは無理がある。そこで、全国各地の劇場でも採用の必要があると考えた。
劇場でのアルバイト採用は、各劇場の副支配人が担当している。そこで、全国の副支配人を対象に、法定雇用率の1.8%を満せばいいというのではなく、障害者雇用を推進し続けることを目的とした研修を実施した。
「どうして障害者雇用に取り組まなくてはいけないのか」「障害者雇用は何のために実施するのか」ということを繰り返し説明した。
こうして、障害者雇用に対する考え方の方向性を合わせたことによって、ある劇場で障害者を採用し、ロールモデルができあがると、それが他の劇場にもスムーズに広まっていった。
--数だけでなく、障害種別も含め、TOHOシネマズにおける障害者雇用の現状について教えてください。
障害者雇用者数は、組織統合後の2008 年の12 月の時点では雇用者数8 名、雇用率は0.53%であったが、2012 年6 月現在は73 名を雇用しており、雇用率は3.96%となっている。障害種別の内訳は、身体34.2%、知的38.4%、精神27.4%と特定の種別に偏ることなく採用している。
また、各地の特別支援学校や就労支援事業所からの要望があれば、職場体験実習を受け入れており、2011 年は11 名が実習し、その内4 名を2012 年4 月に採用した。