【キーマンズ・インタビュー】人材育成によるノーマライゼーション社会の実現に取り組む--塩崎雅大・TOHOシネマズ人事労政部人材開発室マネジャーに聞く
雇用にあたっては、障害者を支援する環境も重要視している。私たちは福祉のプロではない。障害者の方を雇用するには、やはり支援する方々やご家族の援助なしでは雇用は難しいと考えている。劇場担当者は、障害者を取り巻く様々な方々と協力しながら雇用を創出することで地域社会に貢献していく、という考えのもと障害者雇用を推進している。
--障害者の方はどんな業務を担当していますか?
当社で障害者の方が担当している業務は、フロア案内、チケット販売、ストアでのグッズ販売、売店で飲食物販売、館内の清掃、事務など様々な業務があるが、どの業務においても必要なのは、コミュニケーション能力や会話能力となる。
お客様との接客については、衣服の販売や飲食業では1分以上かかることが多いだろう。しかし、劇場での接客接遇に係る時間は比較的短時間であり、1分以上の時間がかかる接客接遇は多くない。TOHOシネマズで障害者雇用がスムーズに定着した理由の一つには、映画館での接客接遇という業種特性があるともいえる。
--選考や配置はどのように行っていますか?
まず書類選考を本社と勤務希望劇場で実施する。次に勤務希望劇場で書類選考通過者を面接し、採否を決める。業務内容の原則は接客。したがって採否は、将来的に接客が出来るかどうかを基準として決めている。
障害者雇用というと、特別枠の採用のように思うかもしれないが、当社は法定雇用率の達成を目的としていないし、福祉事業とも位置づけておらず、採用ではパフォーマンスを求める。したがって採否の基準は他のアルバイト採用とあまり変わらない。
ただ配属にあたっては、業務に合わせて人を配置するのではなく、人に合わせて業務を切り出すという工夫をしている。また障害者の中には通院が必要な人もおり、勤務時間にも配慮する。ただし原則は週20時間以上の勤務を求めている。