一方、日本では、たとえば空港では地方空港を多数作り、しかも少し考えればわかるが、それらの経営は悪化している。ある意味、短期的かつ地域的すぎる政策ともいえる。つまり、韓国が行っているような「ハブ戦略」とまったく逆の(逆行する)戦略をとっており、日本の地位は低下している。
この「ハブ戦略」というのは、“インフラ”を国際的に考えるときには、金融インフラにしても、すべてに共通する戦略である。しかも、日本はうまくいっているとはいえない。
筆者が小学校ぐらいのときには、イソップ物語の「アリとキリギリス」のように、短期的にはつらくても、長期的にメリットを考えて道を選ぼうと教わってきた。それが人生であり、経営であり、国の政策だと考えてきた。しかし、最近では、それらは明らかに“短期的”な考え方になっている。それは小選挙区制をベースとして数年で選挙がある政治制度のせいであろうか。
ところで、この映画を見ていると、パニックレスキュー映画ではよくあるのだが、海上保安庁の対策本部が右往左往している。全面的に協力している海上保安庁の組織としてのイメージは大丈夫なのかと余計な心配をしてしまうほどだ。
■2012年7月13日(金)全国東宝系ロードショー
しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・映画評論家・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングス他に勤務。非常勤講師として、東京大学大学院(3年)、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学(5年)等で教鞭。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa ※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。
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