将来への布石は打った、現場力向上で成長軌道へ--富士フイルムホールディングス会長・CEO 古森重隆

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将来への布石は打った、現場力向上で成長軌道へ--富士フイルムホールディングス会長・CEO 古森重隆

デジタルカメラの出現で、利益の大半を占めていた写真フィルム事業が急速に縮小。このため二度の構造改革を断行、新分野へ大胆に舵を切った。一連の改革の陣頭指揮を執ったのが、6月末に富士フイルムホールディングス会長・CEO(最高経営責任者)に就任した古森重隆氏。「本業消失」という最大の経営危機を乗り越えた今、次は何を目指すのか。

──6月末から中嶋成博社長・COO(最高執行責任者)との新経営体制になりました。

経営力をさらに強化することが狙いです。今まで断崖絶壁を一人で登っていたのが、ザイルで結ばれた仲間が増えたような感じもしますね。もちろん、もう疲れたので権限を移しますということではありません。まだまだやる気十分です(笑)。

──経営戦略の大きな方向性は、今までどおり会長が決められると。

これまで、社長として会社が進むべき成長分野を確定し、将来への布石を打ってきました。その分野は、デジタルカメラなどのイメージング事業、医療診断機器などのメディカル・ライフサイエンス事業、印刷機器関連事業、液晶用フィルムなどの高機能材料事業、携帯電話のカメラモジュールなどの光学デバイス事業、子会社の富士ゼロックスが手掛けるドキュメント事業の六つ。われわれが競争力のある製品を提供できる分野です。

事業確立という第1段階が終わり、これからは、厳しい経営環境の中で各事業を伸ばす第2段階です。欧州経済の低迷が実体経済に反映され、消費者心理の冷え込み、株価の下落、円高等の問題が起きています。原材料価格の高騰も問題です。

厳しい経済環境の中、経営努力をしていかないと、会社の経営を安定した成長軌道に乗せることはできません。第1段階で行った戦略的な投資の中で、欠けているパズルのピースをどう補強していくか。これも第2段階の大きな仕事です。

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