将来への布石は打った、現場力向上で成長軌道へ--富士フイルムホールディングス会長・CEO 古森重隆
将来の基盤となる研究開発を続ける
──構造改革中も研究開発比率は下げませんでしたね。
研究開発投資は、目先のことだけではなく、中長期的なことを考えながら行う必要があります。
世の中の技術が進歩している現在、一つの技術だけで完結することは少なくなっています。
富士フイルムでは先端研究所という研究開発組織を作り、さまざまな専門性を持った約1000人の研究者がプロジェクトチームを作って先端技術の研究をしています。
このような研究開発費を下げれば目先の利益を上げることもできるのですが、投資を続けているのです。
米国では市場が経営者に短期的な成果を求めるため、長期的な研究開発投資をやりにくい。新しい産業が出てくれば、古い企業は潰れても仕方ないとの考え方もあります。
しかし、日本の場合は違います。富士フイルムという会社が、写真フィルムの時代が終わったからといって、世の中からなくなっていいということにはなりません。
中長期的な研究開発投資はすぐに成果に結び付かないため、短期的には経営効率は悪化します。しかし、長い目で見れば、そこで培われた技術が会社を救うこともあります。