将来への布石は打った、現場力向上で成長軌道へ--富士フイルムホールディングス会長・CEO 古森重隆
--変革するためには社員に危機意識を共有させ、それと同時に新しい事業へのモチベーションを上げていかなくてはいけません。この点はいかがだったのでしょうか。
改革するためのリーダーシップには定石があります。たとえば、戦争で、戦局を左右するような大きな戦いに遭遇したときに何をすべきか。まず、自軍が置かれている状況を味方に伝えなくてはいけない。「敵の大軍に囲まれ、補給路を断たれてしまった」と。つまり、会社が置かれている状況を、社員みんなに正しくわからせるのです。
そして、「一流企業として生き延びる」というプライオリティを実現するために何をしなければいけないか、状況を分析します。メーカーの場合、技術がいちばん大事な経営資源です。どの分野だったらわれわれの経営資源を最も生かすことができ、競争力のある商品を出せるのか。社内はもちろん、外部の市場の状況も分析し、どの方向に行くべきか構想を立てます。
その実施計画を社員に説明したうえで、リーダーである自分が真っ先に飛び出す。そうすれば、部下はついてきます。ついてこない社員がいたら、力ずくでも引っ張っていく。そこがリーダーシップです。