悩み激増、「30歳の壁」をスマートに超える策 会社のリーダー研修がより迷いを深くする?

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会社側は、戦力となる人材を流出させないために、こういった研修では社内での活躍の場の可能性を具体的に示していく必要があるかと思います。

いずれにしろ、このような研修をきっかけに自分の気持ちに気づくのは悪いことではありません。むしろ、社会人になった早い時期から、自分はどんな人生を送りたいのか、じっくり考える時間を作ってみてください。

面倒がらずに「向き合う時間」を持つ

そしてその思いは、年齢とともに変化して構わないのです。考えるプロセスが重要ですから。「なんとなく働く」「みんなと同じでいい」「楽しければいい」という感覚で日々を過ごしていると、仕事も結婚も、本当に自分は何を求めているのかが分からなくなります。人は、漠然と描いていることを実現することは難しいのです。

買い物をするときに、「今度のデートに来ていく白いセーターが欲しい」と思って出かけるのと、「なんかかわいい服があったら買おう」と思って出かけるのとでは、まったく視点や意識が違ってくるはず。自分はどうしたいのかという価値観を明確にしていくことが重要です。

30歳のような年齢の節目は、何かに向き合うきっかけになりますが、有効にそれを乗り切っていくためには、そのとき急にではなく、普段から面倒がらずに自分と向き合う時間を持つことなのです。そのことが最終的には、自分を追い詰めない良策になると思います。

働き方や生き方は人それぞれで、今は生活形態もより多様になっています。そんな中、年齢階層の見えない壁にぶつかり、必要以上に苦しむより、ひとつの「通過点」としてとらえることができたらと思います。連続した時間があるだけで、実際はそこに壁などないのですから。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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