「残業が日本一少ない」「休みが日本一多い」「売上目標や営業ノルマがいっさいない」――そんな「日本一『社員』が幸せ」といえる会社がある。岐阜県にある電気・設備資材メーカー、未来工業だ。
同社は室内にある電気スイッチを壁の内外から覆う製品「スライドボックス」などを製造しており、国内トップシェアを誇る。2010年には、第1回「日本一大切にしたい会社」大賞も受賞している。
同社創業者の山田昭男氏は昨夏、惜しまれながら他界した。その山田氏の遺作となった最新刊『山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル』は、今、注目を集めている。
最新刊の発売を記念し、山田氏を長年取材してきたルポライターによる「楽園企業」の謎に迫る連載をスタートする。「うらやましすぎる職場」をリポートしつつ、「なぜ会社はそこまで社員を大切にするのか?」という理由を探っていきたい。
第2回目のテーマは、「7時間15分の就業時間と残業禁止」。この世知辛いご時勢に、開いた口がふさがらないほど優雅で、マイペースな仕事ぶりを紹介する。
毎日が「ノー残業デー」の会社
終業時間に退社することが、あなたは何回あるだろうか?
「ノー残業デー」の週1回? 2回? そもそも「定時に帰る」という発想がない人も多いかもしれない。
一方、岐阜県にある電気・設備資材メーカー「未来工業」の社員たちは、夕方4時45分になると帰り支度を始め、5時にはほぼ誰もいなくなる。
就業時間は7時間15分で、残業も仕事の持ち帰りも禁止。まさに毎日が「ノー残業デー」だ。
創業者の故・山田昭男氏が以前、テレビ「カンブリア宮殿」に出演した際のこと。
「家族との夕食を毎日とれるのが幸せ」と話す中堅社員のビデオ映像が流され、他社から転職してきた独身社員は、「平日に自分の時間がいっぱいあるので、前職ではあきらめていた『平日“婚活”』をやってみます!」と宣言してみせた。
未来工業は残業禁止の導入後30年間、赤字決算はなく、経常利益率の平均も10%を上回っている。残業禁止で、1日7時間15分しか働かないのに、儲かる会社であり続けている。
いったい、こんな「楽園企業」は、どのように生まれたのだろうか?
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