TPPと医療の産業化 二木立著

TPPと医療の産業化 二木立著

民主党政権下で息を吹き返した医療分野への市場原理導入論の実現可能性について、医療政策分析の第一人者が詳述する。野田政権によるTPP(環太平洋経済連携協定)参加方針および経済産業省が進める医療ツーリズム(外国人患者招致)やその新種である「病院輸出」(医療機関の海外進出)をテーマに、医療制度への影響を探る。

著者はTPP参加をきっかけに医薬品や医療機器の価格規制の撤廃・緩和が実現する可能性が高いと見る。その結果として一握りの外資と一部大手日本企業による日本市場の「寡占的支配」が生じる可能性があると指摘する。

その一方で混合診療の全面解禁によって国民皆保険制度が崩壊するといった「地獄のシナリオ」については、厚生労働省や医療界の防衛線が強固であることなどから可能性は低いとする。「病院輸出」についても産業政策として成功する条件はないと見る。難解な医療政策を読み解くうえで必読の書だ。

勁草書房 2625円

  

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