(第54回)残酷なほど明白な日米取引所の実力差

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東京証券取引所に上場している外国企業は、かつては270社あったが、いまは11社しかない。アメリカの銀行は、日本で業務を行っていることもあり、主要なメンバーが名を連ねている。しかし、中国系は、ケイマンに本拠をおく、一般には名が知られていない企業が2社あるだけだ。

時価総額を比較すると、表のとおりである。NYSEとは比べものにならない貧弱さだ。しかも、芳しくないニュースが伝えられている。

東証1部に上場しているチャイナ・ボーチー(中国博奇)は、火力発電所の排煙浄化設備関係の環境企業とされているが、事業実体がないのではとの疑念が報道されている。ただし、同社は上場を継続している。

08年にマザーズに中国企業第1号として上場したアジア・メディアは、創業トップによる横領事件が発覚し、粉飾決算の疑いも濃厚になり、上場廃止に追い込まれた。大証ジャスダックのセラーテムは、実態不明の中国事業を吹聴して株価が急騰したため、証券取引等監視委員会が強制調査に乗り出したとされる。

日本は資本輸出国であり、世界一の純債権国なのだから、本当は外国企業がもっと日本市場に上場していないとおかしいのである。上場には日本語の資料が必要なので外国企業にとって敷居が高いというのだが、正式文書には英語を認め、それを一般投資家向けに日本語に訳せばよいのではないか? これが本質的な原因とは思えない。

問題は、審査が甘いためいかがわしい企業が上場し、信頼性のある市場と見なされていないことだろう。

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