(第53回)中国の資本市場に日本の進出余地はあるか

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(第53回)中国の資本市場に日本の進出余地はあるか

株式市場や社債市場を中心とする直接金融は、さまざまな意味で重要だ。

第一に、企業が資本市場から直接に資金調達することを可能とする。市場条件に応じた調達なので、業績の優れた企業ほど安いコストで資金調達できる。そうでない企業は有利な条件で資金調達できなくなり、退出を余儀なくされる。

第二は、企業のガバナンスだ。上場企業は、詳細な企業情報の開示を要求される。投資家はそれを見て株式や社債への投資を決める。こうして、内部者だけが勝手に企業を経営することは許されなくなる。

間接金融体制の下では、以上のようなメカニズムは働きにくい。日本で産業構造の改革が進まなかった大きな原因はここにある。

中国経済の長期的な発展にとって、直接金融市場の育成は、重要な課題である。しかし、中国における資本市場の発達は遅れている。

その最大の原因は非流通株の存在だった。多くの国有企業は、株式会社化する際に増資発行部分だけを公開して上場した。もともとの資産は上場しても原則的に公開されることなく、市場で流通しない株式となった。

流通の可否や取得コストの点で大きな相違があったにもかかわらず、株主権利は流通株と同様の取扱いであった。これが、非流通株主による上場会社の資金流用などの弊害を生んだ。中国企業改革のため、この問題の解決は不可欠の課題だった。

1999年と2001年に国有株の売却を実施したが、失敗に終わった。その原因として、国有株売却価格に対する流通株主の反発や、需給条件悪化に対する懸念があった。

05年4月に、非流通株改革が再開された。この時点で発行済み株式のうち、非流通株が約6割あった。その後、非流通株は減少し、11年11月時点では、上場企業約2300社弱のうち改革未完了企業は数社になっている。

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