(第53回)中国の資本市場に日本の進出余地はあるか

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複数株価が併存する中国の株式市場

中国には三つの証券取引所がある。上海取引所には、エネルギーと金融分野を中心に、大手国有企業が多数上場している。深セン取引所に上場している企業は、比較的小規模だが、成長率の高い企業が多い。

香港取引所には、大手企業が上場するメインボードと、中小企業が上場するGEMボードがある。中国本土にある中国企業が香港で上場した場合には「H」株と呼ばれ、中国企業が香港で現地法人を作って上場した場合には「レッドチップ」と呼ばれる(海外市場で上場している中国企業株を一般的にH株と呼ぶこともある)。

上海と深セン市場の上場企業の時価総額より、海外市場上場企業の時価総額のほうが大きい。これは、海外のほうが上場しやすいからだ。国内では国有企業が優先され、審査手続きも煩雑だ。なお、海外の6割強は香港である。

さらに、A株とB株の区別がある。A株とは、中国本土投資家のみが取引できる人民元建ての株だ(ただし、02年以降、外国の機関投資家も許可ベースでA株に投資することができる)。B株とは、それ以外の投資家も取引可能な外貨建ての株(当初は外国人投資家しか投資できなかったが、01年から中国人にも開放された)である。A株市場とB株市場は、事実上隔離されている。中国の人民元に対する管理が残る限り、この状態は続く。多くの場合、A株がB株より2倍程度高い。

H株は香港ドル建てで取引される。外国人投資家にとっては、B株よりH株の方が情報開示などの規範度が高いので、魅力的だ。日本で中国株という場合、B株を指すことはほとんどなく、ほぼH株を指す。

以上を反映して、中国の株価指数にはいくつかのものがある。上海市場ではA株指数とB株指数があり、その両方に連動するのが上海総合指数だ。この指数は、中国本土上場銘柄の値動きを示す代表的なインデックスであり、世界中で注目される株価指数の一つである。深セン市場でも、A株指数、B株指数、総合指数がある。

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