「東京電力」研究 排除の系譜 斎藤貴男著 ~詳細に明らかにされる巨大企業の戦後史

「東京電力」研究 排除の系譜 斎藤貴男著 ~詳細に明らかにされる巨大企業の戦後史

評者 奥村 宏 会社学研究家

 なぜ原発事故は起こったのか。東京電力とはいったいどういう会社なのか。

いま人々の関心が集まっているこの問題に対して、さまざまな資料をあさり、関係者の話を聞いて詳しく書かれている。

たとえば第一章の「安全神話のパラドックス」では1984年に書かれた原発テロ対策に関する外務省の内部資料を掘り起こして、原発がいかに危険であるかということが関係者には早くから認識されていたことを明らかにしている。

戦後まもなく9電力体制がスタートした時点にまで遡って、東電という会社の社内組織や労務管理のあり方、そして電産労組の動きなどについてもよく調べている。

東電という会社を代表している人物として木川田一隆と平岩外四という二人の元社長が挙げられるが、前者は経済同友会、後者は経団連のトップとして日本を代表する財界人でもあった。

二人とも「財界の良心派」のように見られたが、その虚像を壊し、二人がいかに巧妙にマスコミを操作したか、ということもこの本を読めばよくわかる。

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 憧れから一歩前へ! キャンピングカーのある日常
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
人気の動画
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT