目を奪われるものを見過ごさず、惹かれるほうへ足を向ける。有田さんはそんな選択を積み重ねてきた。
「人生って、思っているより短いじゃないですか。けっこうみなさん、あっけなくこの世を卒業される。だったら、もったいない時間の過ごし方はしたくないですよね。
自分らしく生きて、お互いリスペクトがある人との接点を持つことに、もっと貪欲になっていい。僕がひとつひとつの仕事に振り切れるのも、同じ理屈です。人生一度きりなんだから、考えすぎて躊躇していたらもったいない」
無理して“家族”を演じない生き方
そういった感覚は、人間関係にも通じている。家族について話すとき、有田さんは少し言葉を選びながら、こんなふうに表現した。
「家族って、よく考えると、異星人の寄り集まりみたいなもの。みんな、違う星から来たと思えば、無理にわかろうとしなくてもいいし、わかり合えたときは、より嬉しい。
僕には25歳の息子と20歳の娘がいるんですが、もう彼らも大人です。だんだんと親子の関係性をほどいた、人間同士の付き合いに移行しつつあります。
親として彼らを育てていた期間は、その関係性も楽しんでいました。音楽や文学、アートなどの、僕が好きなカルチャーを教えたりね。でも大人同士の付き合いも、また楽しい。信頼関係があれば、適度な距離を取っていても温もりを感じられるものです」
完全にわかり合うことを前提にしない。だからこそ、相手に過剰な期待をせず、自分を押し殺すこともない。その結果、役割を終えた関係が形を変えることもある。有田さんは、それを断絶ではなく、自然な更新として受け止めている。
この部屋を中心とした有田さんと人々の関係は、惑星の軌跡のように独特で、定型ではないかもしれない。それでも彼の部屋の窓には、今日も太陽が昇り、夜になれば美しい月が顔をのぞかせているはずだ。
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