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ライフ #だから、ひとり暮らし

「人生は思ったよりも短い」——59歳デザイナーの"だから、ひとり暮らし"。29歳で転身し、「前だけを見て」クリエイティブの世界を走り続ける

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  • 蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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目を奪われるものを見過ごさず、惹かれるほうへ足を向ける。有田さんはそんな選択を積み重ねてきた。

「人生って、思っているより短いじゃないですか。けっこうみなさん、あっけなくこの世を卒業される。だったら、もったいない時間の過ごし方はしたくないですよね。

自分らしく生きて、お互いリスペクトがある人との接点を持つことに、もっと貪欲になっていい。僕がひとつひとつの仕事に振り切れるのも、同じ理屈です。人生一度きりなんだから、考えすぎて躊躇していたらもったいない」

美大の講師として長年勤務している(撮影:今井康一)

無理して“家族”を演じない生き方

そういった感覚は、人間関係にも通じている。家族について話すとき、有田さんは少し言葉を選びながら、こんなふうに表現した。

「家族って、よく考えると、異星人の寄り集まりみたいなもの。みんな、違う星から来たと思えば、無理にわかろうとしなくてもいいし、わかり合えたときは、より嬉しい。

僕には25歳の息子と20歳の娘がいるんですが、もう彼らも大人です。だんだんと親子の関係性をほどいた、人間同士の付き合いに移行しつつあります。

親として彼らを育てていた期間は、その関係性も楽しんでいました。音楽や文学、アートなどの、僕が好きなカルチャーを教えたりね。でも大人同士の付き合いも、また楽しい。信頼関係があれば、適度な距離を取っていても温もりを感じられるものです」

完全にわかり合うことを前提にしない。だからこそ、相手に過剰な期待をせず、自分を押し殺すこともない。その結果、役割を終えた関係が形を変えることもある。有田さんは、それを断絶ではなく、自然な更新として受け止めている。

この部屋を中心とした有田さんと人々の関係は、惑星の軌跡のように独特で、定型ではないかもしれない。それでも彼の部屋の窓には、今日も太陽が昇り、夜になれば美しい月が顔をのぞかせているはずだ。

大きな窓から、空の移り変わりを眺めて(撮影:今井康一)
キッチンは物が多いが、テイストが揃えられているから雰囲気がある。かわいいスポンジがアクセント(撮影:今井康一)
飾り棚の上に何を置くかも、すべて計算されているようだ(撮影:今井康一)
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