「人生は思ったよりも短い」——59歳デザイナーの"だから、ひとり暮らし"。29歳で転身し、「前だけを見て」クリエイティブの世界を走り続ける

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「僕がアート活動を始めた頃はIDÉEやBEAMSみたいな文化の発信地的なカフェがあって、そこで展示をやらせてもらったりしていました。壁に作品のテキスタイルやポスターを飾ったりしていると、たまたま来ていた出版社の編集の人が声をかけてくれて雑誌に掲載されたり。わりとトントン拍子。

でも同じことを、いまやってもうまくいかないですよね。カフェに作品を置いていれば、誰かが見つけてくれる、という時代ではなくなってしまった。

その代わり現代は、Instagramに作品を出しておくと、それを海外の人が見つけて、直接メッセージが来たりする時代です。それって昔にはない回路で、別の良さがあるじゃないですか。だから僕もInstagramには力を入れています。

表現方法でも、音楽やアートなどのカルチャーでも、いいなと思ったら、新しいものを素直に試すんです。年齢は関係ない」

有田さんの新しいことを試す姿勢は、何かを計算して動いているという感じでもない。面白そうなものがあれば、さっと飛びつく。そのくらいの距離感だ。

「僕、基本的にミーハーなんですよ。いいなと思ったら、すぐ触ってみたくなる。あんまり深く考えてから動く、というタイプじゃないですね。直感を研ぎ澄ますことが大切だと思います」

蔵書コーナー
蔵書を展示するコーナー。「ここにあるのは一部で、残りは倉庫に。気分で入れ替えています」(撮影:今井康一)

太陽と月を見て暮らす理由

もともとは仕事部屋だったセカンドハウスに、寝泊りもしている有田さん。この部屋で、いちばん好きなところを聞くと、それは窓からの風景だという。

「太陽の動きが見えるのが、すごくいいんです。朝の光と、夕方の光って、全然違うじゃないですか。その違いが、ちゃんとわかるのがいい。そして夜になったらなったで、月が出ていると、やっぱり見ちゃいますね。

ついつい目が惹かれることを、大事にしたいんです。感性を研ぎ澄ます、って言うと大げさかもしれないけど、当たり前のようにそこにあるけれど『見ちゃう』『感じちゃう』ものに対する感動を、ちゃんと感じ取れる状態でいることなのかな、と思います」

アートを教える現場で、学生たちにそういった話をすることも多いという。

「彼らにも、『気になるものは、ちゃんとていねいに見ておいたほうがいいよ。それは後から必ず自分の感性に還元されるから』って、アドバイスしています。だってたとえば、とても素敵な人がそこにいるのに、素通りするなんて馬鹿げているでしょ。ちゃんと足を止めて感動しないと」

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