「人生は思ったよりも短い」——59歳デザイナーの"だから、ひとり暮らし"。29歳で転身し、「前だけを見て」クリエイティブの世界を走り続ける

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有田さんの部屋
星、月、地球、など天体モチーフが多いインテリアが、淡い空色の壁に映える(撮影:今井康一)

「星座そのものというより、星がどう動いているのかを見るのが好きでした。天体の動きをずっと追っていくと、きれいな軌跡を描くんです。あれって、花みたいな形になることもあって、とてもシンボリックで美しい。

昔の人って、星を見上げて、本当に驚いたと思うんですよね。空を見て、あれだけのものが動いているって、すごいことじゃないですか。僕は、そういう“最初の驚き”みたいなものが、ずっと好きなんだと思います」(有田昌史さん 以下の発言すべて)

有田さん
有田 昌史(ありた・まさふみ)/島根県生まれ、59歳。図案作家、占星術家、女子美術大学芸術学部講師、名古屋芸術大学デザイン学部客員教授。現在はこの部屋(リノベーション賃貸のREISMの賃貸物件)で私塾も運営。https://lit.link/izumoarita(撮影:今井康一)

父のようには生きられなかった

夢を見ているような表情で話す有田さんを見ていると、生粋のアーティストという印象だ。しかし意外にも、最初のキャリアは法律関係だったという。

「父が法律家だったんです。父のことが好きで、尊敬もしていました。だから、まずは父のために、親孝行でその道を選んだという感じですね。でも父は、早くに亡くなったんです。そこから『自分は何が好きなんだろう、何をやりたいんだろう』と、考えるようになりました」

法律の仕事から、デザインやアートの分野へ転じたのは29歳のときだった。

有田さんの部屋
部屋は、作品の展示室としても利用している(撮影:今井康一)

「父は、家族のためにかなり無理をして生きていた人。それが良いとか悪いとかじゃなくて、そういう時代で、そういう役割を自然に引き受けていたんだと思うんです。でも、自分は同じ生き方は選ばなかった、というか……たぶん、選べませんでした」

それからの有田さんは、自身の興味に導かれるようにデザインの分野へと身を投じ、その経験を重ねながら、美術大学で教える仕事にも携わるようになった。家族をつくり、子どもを育て、その時間を終えたいま、この部屋でひとり暮らしている。

有田さんの顔には、59歳という年齢が刻みがちな疲れが、あまり見当たらない。この部屋にもまた、我慢や苦労を積み重ねてきた人にありがちな重たさは感じられない。

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